グローバル時代の芸術文化概論
クレア・ビショップ特別講義 DAY1

 この度、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科では、本研究科・開講科目「グローバル時代の芸術文化概論」の一環で、美術史家及び美術批評家で、ニューヨーク市立大学大学院美術史科教授のクレア・ビショップ氏を招聘し、2日間に渡り講義を行います。

情報オーバーロード:リサーチベース・アートとアテンションの政治学

 「リサーチベース・アート(Research-Based Art)」とは、大量のビジュアル素材をサポートするためのテキストと資料に多くを依存することで特徴づけられるインスタレーションの実践の種類です。それは、空間的に流通し、鑑賞者が自ら解釈上の結論にたどり着くように促しています。本講義では、1990年代初期のこうした作品の登場の系譜を示し、情報マネジメントにおける技術的進歩という観点からその後その作品自体がこの30年間でどのように変化してきたのかを描き出したいと思います。ここでは、さらに、鑑賞者たちの受容(そして、アテンション経済の圧力)を考察します。本講義では、こうした芸術的な傾向を、調査に関するポスト解釈学的アプローチ、労働としての観客性の再構築、そして情報オーバーロード(過剰)に対する抵抗というよりは、むしろ悪化として捉え、それに対する批判を試みたいと思います。

日時:2021年6月4日(金) 9:00-10:30
会場:オンライン開催(Zoom)
講師:クレア・ビショップ
討議者:加治屋健司(東京大学大学院・教授)、清水知子(筑波大学・准教授)
*DAY1は学内学生向けの講義です。
*お申し込みはこちら:https://forms.gle/DE3ULxkv9mTz9Gg49(学内限定)
*日英同時通訳あり

*講義に先立って、GAの学生には5月28日(金)5限に毛利嘉孝先生と菅原伸也先生によるプレ授業が開催されます。


クレア・ビショップ

 美術史家及び美術批評家、ニューヨーク市立大学大学院美術史学科教授。著書に「人工地獄 現代アートと観客の政治学」、「ラディカル・ミュゼオロジー」がある。また彼女はアートフォーラムの寄稿編集者であり、彼女のエッセイや書籍は約20か国語に翻訳されている。現在、マース・カニンガムのイベントについての文章と、現代美術についてのエッセイを執筆中。最新の出版物はキューバのアーティスト、タニア・ブルゲラとの対話集。


主催:東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科
お問い合わせ:東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科 教員室
info-ga(a)ml.geidai.ac.jp