トーク&ワークショップ
「国のない人」
李晶玉 × 鄭梨愛

日時:2019年1月15日(火)18:00〜20:30
会場:東京芸術大学上野キャンパス学生会館2階GA講義室(110-8714 東京都台東区上野公園12-8)
*参加無料、申込不要、日本語のみ
キュレーション:権祥海
参加アーティスト: 李晶玉、鄭梨愛

在日朝鮮人アーティスト李晶玉と鄭梨愛は、民族や個人の歴史など自らのアイデンティティを、作品活動を通して探求してきました。李と鄭にとって展覧会は、単なる作品の発表の場を超え、様々なコミュニティとの関係の中で自らの存在と遭遇するきっかけとなります。それは同時に、他のコミュニティの構成員との作業の中で、安易な妥協や過渡な同一視からなる理解し合えなさを発見する過程でもあるでしょう。

今回のトークでは、李と鄭が参加した展覧会(区画壁を跨ぐ橋プロジェクト「突然、目の前がひらけて」(2015)、韓国京畿道美術館での「コリアン・ディアスポラ」展(2018)など)を振り返ることで二人のアイデンティティがどのように現前化されたかを辿ります。続いて、会場に配された現在進行中のインスタレーションの中で観客とワークショップを行います。イベントの全ての過程はビデオカメラで撮影し、今後映像作品として作る予定です。
今回のイベントは、李と鄭の「国のない」状況とそこから展開するアート活動に目を向けると共に、パフォーマンスとしてのワークショップを用いることで、二人のアーティストが持つ特殊な状況を観客それぞれが持つ経験と共鳴させることを目指しています。

李晶玉(リ・ジョンオク)
1991年東京生まれ。2018年朝鮮大学校研究院総合研究科美術専攻卒業、現在同大学美術科非常勤講師。
在日朝鮮人3世という立場から、国家や民族に対する横断的、俯瞰的な視点を足がかりに制作を展開しています。 古典絵画の構図や象徴的なモチーフを借用した画面でマジョリティの文脈や構造にアプローチをかける制作を展開し、近作では超虚構(メタフィクション)的な表現手法で現実と虚構の関係を作品化する試みを行っています。

鄭梨愛(チョン・リエ)
1991年札幌生まれ。2018年朝鮮大学校研究院総合研究科美術専攻卒業、現在同大学美術科非常勤講師。
在日一世である自身の祖父の肖像を通して個人と歴史の関係性を探りながら、定型化された歴史の語り方に疑問を投げかけています。近作では祖父のオーラル・ヒストリーから韓国の近代史をリサーチし、歴史と記憶と語りが混在する物語の、実存のための紡ぎ方を模索しています。

権祥海(ゴン・サンヘ)
1990年韓国大邱生まれ。2018年東京藝術大学美術研究科芸術学専攻修士課程修了。現在同大学国際芸術創造研究科博士課程在籍。現代美術に見る演劇性や行為性を個人及び共同体の歴史や社会的実践の側面から考えています。パフォーマンスやワークショップの企画、展示活動を行っています。主な実践として、イム・ミヌク「O Tannenbaum」(2018、ASAKUSA)にコーディネーターとして参加。