鉾井喬, 風と土の接点, 2017

「新しいエコロジーとアート」展関連イベント
風のゆくえ ‒ 自然・環境と対峙するアーティスト‒

日時:2022年6月17日(金) 17:30~18:30
会場:東京藝術大学総合工房棟3Fデザイン科プレゼンテーションルーム
料金:無料(予約不要)

「新しいエコロジーとアート」展のスピンオフ企画として、展覧会アーティスティックディレクター長谷川祐子氏を招き、鉾井喬と熊谷薫による合同キュレーションによるトークイベントを行います。
日本の自然豊かな地域で活躍する作家固有の「自然と人」「自然とエネルギー」というテーマに基づく実践について、「新しいエコロジーとアート」展のアーティスティックディレクター長谷川祐子氏とともに、分析・対話し西洋の文脈から展開した表現とは異なる「新しいエコロジーとアート」の視点を掘り下げます。本企画では、原風景が残る日本の地方固有の自然や民俗、文化に触れながらの制作を経て形成された、エコロジーに対する問題意識を持つ作家3名(鉾井喬、半谷学、ジェイミ・ハンフリーズ)が、各自の表現、及び背景にある思想についてプレゼンテーションし、対話の糸口とします。

鉾井喬, Invisible Cooperation, 2021

鉾井喬|Takashi Hokoi
2010年東京藝術大学大学院美術研究科修了。2016年から東京藝術大学デザイン科立体工房非常勤講師。学生の頃、人力飛行機サークルで鳥人間コンテストに参加し、パイロットとして空を飛ぶ。気付かないほどのわずかな風に巨大な人力飛行機が翻弄された体験から風に興味を持ち始め、それ以降風をテーマに立体作品を作り始める。一方で修了後のNHK時代、東日本大震災の際に津波をヘリから空撮。その後福島県内の取材を続け、退職後に紀行ドキュメンタリー映画「福島桜紀行」を発表。近年は福島と東京の2拠点生活をしながら、自身の経験を元に、自然とエネルギーとの対話、対峙を問いかける作品を制作。全国各地の芸術祭や海外アーティストインレジデンスに参加をし、発表をしている。

半谷学, 登竜門:風の龍, 2015

半谷学|Manabu Hangai
美術家。個展での作品発表のほか国内外のアートプロジェクへの参加、コミッションワークとして各地の公共空間への作品設置、環境問題を楽しく考える造形ワークショップなどに力を入れている。
参加した主なアートプロジェクトは、「中之条ビエンナーレ国際現代芸術祭2021」(群馬県)、「体感A4」都美セレクショングループ展2021」(東京都美術館:東京都)など。
私の作品は社会から見捨てられたものを材料にして制作しています。例として、可燃ゴミとされたロープ(市民劇場の緞帳の裏で使われていたもの)、廃棄を待つ傘(傘置き場で埃をかぶっていたもの)、荒廃の果ての竹(手入れがされない竹林から間伐したもの)などがあります。制作のコンセプトは不要とされたモノが背負わされた負のイメージを美のイメージに昇華させて環境問題へ小さな毒を滴らせることです。

Jaime Humphreys, A Narrative of “Nature” , 2017

Jaime Humphreys|ジェイミ・ハンフリーズ
イギリス出身。神奈川県在住。映像やドローイング、立体作品等、様々な要素で構成されたインスタレーションを通し、人間と自然の関係性を探求している。20年以上日本を拠点にするなかで、日本における自然界と人工的な環境からインスピレーションを得て、人間の努力とその無常さを表現する。林業や地形、石灰岩鉱山など、様々な視点や文脈を軸に、一時的な存在としての表現やプロセスベースの作品を展開する。アジアを中心に、タイ、台湾、中国など国内外で作品を発表。現在、武蔵野美術大学の非常勤講師。

熊谷薫|Kaoru Kumagai
事業評価・アーカイブコーディネーター/アートマネージャー・ラボ代表/合同会社ARTLOGY代表
2005年に東京大学美術史学科修士課程修了後、N.Y.の市立大学に留学し戦後美術について研究、グッゲンハイム美術館でのインターンを経て帰国。2012年11月から東京アートポイント計画のプログラムオフィサーとしてTokyo Art Research Labの、記録調査/アーカイブ/評価に関わる研究開発プログラムに携わった。2014年よりフリーランスとして、アートプロジェクトの企画運営に加え、文化芸術分野の様々な活動のアーカイブや事業評価のコーディネートを手掛ける。現在は社会と文化芸術の橋渡しをすべく、日本全国の活動をリサーチしながら、事業運営支援や、企画立案・プロデュース業務、事業評価や戦略立案などを実施している。