この度、エスパス ルイ・ヴィトン大阪「Isaac Julien – Ten Thousand Waves」展に伴い来日するアーティスト、アイザック・ジュリアンをゲストに迎え、スペシャル・アーティスト・トークを開催します。

カリブ海のセントルシア島出身にルーツを持ち、イギリスのロンドンにあるセント・マーチン美術学校を卒業したアイザック・ジュリアンは、1980年代半ば、マーガレット・サッチャー政権下のイギリスにおいて、ビデオを社会活動の表現媒体として、また対抗言説を伝える手段として用いたイギリス人映画作家たちのムーブメントを牽引した1人です。黒人やアジア系ディアスポラの視点をイギリスの文化議論の場に紹介した彼らは、カルチュラル・スタディーズの中心人物で社会学者のスチュアート・ホールなどに影響を受けつつ、人種やエスニシティ、ポストコロニアリズム、ジェンダーやセクシュアリティなどのテーマをもとに作品を発表します。2001年にはターナー賞にノミネートされ、2003年にはドイツのケルンで開催されたクンスト・フィルム・ビエンナーレで審査員大賞を受賞しました。2017年には大英帝国勲章コマンダー(CBE)を受勲し、2022年にはナイトの称号を授与されました。去年2023年テート・ブリテンで開催された回顧展「What Freedom Is To Me」が高い評価を得たことも記憶に新しいでしょう。
世界で最も注目されるアーティストのひとりであるアイザック・ジュリアンが今何を考えているのか、作品制作の関心や、広く社会に対するアートのありようについてお話を伺います。
 
日時:2024年3月28日(木)18時~19時30分(17時半開場)
会場:東京藝術大学上野音楽学部キャンパス 5-109
住所:東京都台東区上野公園12-8
料金:無料 ※要予約(定員に達し次第、予約受付を終了いたします)
予約フォーム:https://forms.gle/uStbmRkdfh2QUyXB7
定員:200名
トークゲスト:アイザック・ジュリアン(アーティスト)
討議者:桝田倫広(東京国立近代美術館)、清水知子(東京藝術大学)
司会:毛利嘉孝(東京藝術大学)
言語:日本語/英語(同時通訳あり)
主催: 東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科
協力:エスパス ルイ・ヴィトン大阪

*本トークイベントは、以下の展覧会の関連企画として開催いたします。
「ISAAC JULIEN – TEN THOUSAND WAVES」展
会場:エスパス ルイ・ヴィトン大阪
住所:大阪市中央区心斎橋筋2-8-16 ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋 5F
会期:2024年3月27日(水) – 2024年9月22日(日)
開館時間:12:00 pm – 8:00 pm(入場無料)
※休館日はルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋に準じます
詳細:https://www.espacelouisvuittontokyo.com/

Photo: Thierry Bal

アイザック・ジュリアン|Isaac Julien
アイザック・ジュリアンは、西インド諸島のセントルシア島からイギリスに移住した両親のもと、1960年にロンドンで生まれました。1984年にセント・マーチンズ美術学校を卒業し、美術・映像の学士号を取得。ロンドンと米国カリフォルニア州サンタクルーズの間を行き来しながら活動しています。1980年代マーガレット・サッチャー政権下のイギリスが抱えていた社会不安への応答として、1983年にマルティナ・アティール、モーリーン・ブラックウッド、ナディーン・マーシュ=エドワーズ、ロバート・クルスらとサンコファ・フィルム・アンド・ビデオ・コレクティブを共同設立。また、1991年には自らの映像プロダクション会社ノーマル・フィルムズを設立。同年、長編映画『ヤング・ソウル・レベルズ』がカンヌ国際映画祭批評家週間で受賞。その他多くの賞や称号を手にしますが、中でも2001年にはターナー賞にノミネートされ、2003年にはドイツのケルンで開催されたクンスト・フィルム・ビエンナーレで審査員大賞を受賞しました。2017年には大英帝国勲章コマンダー(CBE)を受勲し、2022年にはナイトの称号を授与されました。ジュリアンの作品は、ニューヨーク近代美術館、ホイットニー美術館(ニューヨーク)、インスティテュート・オブ・コンテンポラリー・アート(ボストン)、テート・ブリテン(ロンドン)、ポンピドゥー・センター(パリ)、グッゲンハイム・ビルバオ(スペイン)、ハウス・デア・クンスト(ミュンヘン)など、数多くの展覧会、上映会や映画祭で紹介されています。

桝田倫広|Tomohiro Masuda
東京国立近代美術館 主任研究員。1982年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科美術史学専攻博士後期課程単位取得退学。担当した主な展覧会に「アジアにめざめたら:アートが変わる、世界が変わる 1960–1990年代」(共同キュレーション、東京国立近代美術館、韓国国立現代美術館、ナショナル・ギャラリー・シンガポール、2018–2019年)、「ピーター・ドイグ展」(2020年)、「ゲルハルト・リヒター展」(2022年)など。

清水知子|Tomoko Shimizu
東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科准教授。愛知県生まれ。筑波大学大学院博士課程文芸・言語研究科修了。博士(文学)。専門は文化理論、メディア文化論。著書に『文化と暴力――揺曳するユニオンジャック』(月曜社)、『ディズニーと動物――王国の魔法をとく』(筑摩選書)、『21世紀の哲学をひらく――現代思想の最前線への招待』(共著、ミネルヴァ書房)、『芸術と労働』(共著、水声社)、『コミュニケーション資本主義と〈コモン〉の探求――ポスト・ヒューマン時代のメディア論』(共著、東京大学出版会)など。訳書に、ジュディス・バトラー『非暴力の力』『アセンブリー行為遂行性・複数性・政治』(共訳、青土社)、アントニオ・ネグリ+マイケル・ハート『叛逆 マルチチュードの民主主義宣言』(共訳、NHKブックス)、デイヴィッド・ライアン『9・11以後の監視』(明石書店)など。

毛利嘉孝|Yoshitaka Mōri
東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科/音楽学部音楽環境創造科 教授。1963年生まれ。社会学者。文化/メディア研究。京都大学経済学部卒。ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジPh.D(. 社会学)、MA (メディア&コミュニケーションズ)修了。九州大学を経て現職。特にポピュラー音楽や現代美術、メディアなど現代文化と都市空間の編成や社会運動をテーマに批評活動を行う。主な著書に『バンクシー:アートテロリスト』、『文化=政治 グローバリゼーション時代の空間叛乱』、『ストリートの思想 転換期としての1990年代』、『はじめてのDiY』、『増補 ポピュラー音楽と資本主義』、共著に『入門 カルチュラル・スタディーズ』、『実践 カルチュラル・スタディーズ』、『現代思想入門 グローバル時代の「思想地図」はこうなっている!』、『ネグリ、日本と向き合う』など。編著に『アフター・テレビジョン・スタディーズ』など。