特別公開講義
「Into Performance:メディア/ジェンダー/政治の交錯点から再考する」

このたび、Into Performance: Japanese Women Artists in New Yorkの著者である由本みどりさんと7月22日から個展「We Can Do It!」を開催される明日少女隊の皆さんをお迎えして公開講義を開催します。諸問題を抱える現代の日常生活に対して、パフォーマンスはどのように文化政治的な空間を形成しているのか、またそれは現代社会においてどのような意味を持つのかについて議論していけたらと思います。

1960年代は、アートの世界、特にニューヨークにおいて、ニューミュージック、ハプニング、フルクサス、ニューダンス、ポップアート、ミニマルアートがほぼ同時期に開花した驚くべき自由と探求の時代でした。また見過ごされがちですが、この時期に特筆すべきは、女性による革命的なアートが非常に多く生み出されたことです。

由本みどりさんからはパフォーマンスやコンセプチュアル・アート、ヴィデオ・アートなど、ニューヨークの前衛芸術の動向の最中に身を投じ、日本よりも欧米で評価が先に上がった5人の女性アーティスト——オノ・ヨーコ、草間彌生、斉藤陽子、塩見允枝子、久保田成子——の実験的活動を中心にその歴史的意義についてお話していただきます。特に彼女たちのパフォーマンスは、1960年代当時、どのように受け止められ、60年後の今、私たちにどのようなメッセージを伝えてくれるでしょうか?

また、2015年の結成以来、日本、そして東アジアのフェミニズムをアートを通してグローバルに発信し続けてきた第4波フェミニスト・アーティスト・グループの明日少女隊の皆さんは、刑法性犯罪改正、広辞苑の「フェミニズム」の定義、「慰安婦」やトランスジェンダーの権利の問題など多岐に渡って活動され、国内外を問わず、多大な注目を集めています。今回の講義ではアートとアクティビズムの交差点で活躍されてきたこれまでのご活動とともに2023年7月22日から北千住BUoYにて開催される個展とご著書『We Can Do It!』についてもお話していただきます。

ぜひどなたでもお気軽にご参加ください。

日時:2023年7月18日(火)18:00-20:00
会場:東京藝術大学 上野キャンパス・国際交流棟3Fコミュニティサロン

料金:無料 ※要予約
言語:日本語(質疑応答は日英可)
講師:由本みどり(ニュージャージー・シティー大学教授)、明日少女隊

司会:清水知子(東京藝術大学准教授)

予約方法以下のお申込みフォームから事前予約をお願いいたします。

定員に達したため、受付を締め切りました。(7/7)

https://forms.gle/94b4MQ2CRY8DYRKB9

※対面開催のみなのでご注意ください。

主催:東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科 清水知子研究室+毛利嘉孝研究室
お問合せ:国際芸術創造研究科教員室 ga-research@ml.geidai.ac.jp


由本みどり

ニュージャージー・シティー大学教授/ギャラリー・ディレクター。大阪大学で学士号を修得後、ロータリー財団奨学金で渡米。ラトガース大学大学院に提出した博士論文を2005年にInto Performance: Japanese Women Artists in New Yorkとして出版。同年の栃木県立美術館における「前衛の女性」展、2008年豊田市美術館での「不協和音」展、2012年東京都現代美術館での「靉嘔 ふたたび虹の彼方に」展等、日本の美術展図録への寄稿も多い。英語の出版物には、 1962-1964 (『ヨーコ・オノ ワン・ウーマン・ショー』 Museum of Modern Art New York, 2015)、Fluxus Nexus: Fluxus in New York and Japan (post.at.moma.org, 2013)、Limitless World: Gutai’s Reinvention in Environment Art and Intermedia (『具体すてきな遊び場』 Guggenheim Museum, 2013)、From Space to Environment: The Origins of Kankyō and the Emergence of Intermedia Art in Japan(「空間から環境へ:日本における〈環境〉の起源とインターメディア・アートの起こり」CAA Art Journal 2008年秋号)、Women and Performanceの「女性とフルクサス」特集号(ゲスト企画・編集、2009年11月号)、『城西大学紀要』 Review of Japanese Culture and Societyの「1970年 万博と日本芸術」特集号(ゲスト企画・編集、2012年)などがある。2021年、共同キュレーターを務めた『Viva Video! 久保田成子』展が日本の美術館三館を巡回し、倫雅芸術奨励賞を受賞した。同年、共編著『女性、老い、美術、異文化間アンソロジー』を出版。

明日少女隊

2015年に結成。ジェンダーや国籍の異なる、第4波フェミニスト・アクティビストによるアートグループ。東アジアの若い世代向けのフェミニズムをテーマに、日本、韓国を始め、ヨーロッパ、北米、南米など現在、世界で通算50名以上のメンバーから構成され、ダイバーシティーのある若手のフェミニストとして、また学生、母、社会人、非正規労働者、失業者として様々なアート制作、アクティヴィズム活動を展開中。個展「明日少女隊」(2018, シドニー)、パフォーマンス「ビリーブ・マーチ」(2017、東京)、「忘却への抵抗 Against Forgetting」(2018,2019、ソウル、東京)、署名運動と歌と動画の制作「拝啓 広辞苑様」(2018)など。