特別講義:グローバル時代の芸術文化概論
David Teh
「民主的なフェスティバルとは?東南アジア美術における不服従と地域主義」

Nightly gathering at Tha Pae Gate, Chiang Mai during the 2nd Week of Cooperative Suffering, 1996. Image courtesy Uthit Atimana.

 

国際芸術創造研究科(GA)では、修士1年生の必修科目「グローバル時代の芸術文化概論」にて、毎年海外からのゲストを招いて特別講義を実施しています。今回はゲストに、シンガポールのキュレーター、デビッド・テ氏をお招きして、東南アジアの現代アートやフェスティバルについてお話いただきます。現代美術とその歴史におけるフェスティバルの場とは何でしょうか?際限なく拡がる現代美術の地勢における周縁部が、グローバル化された市場やインスティテューションの欲望が生み出すグローバルな美術史によって図示されることで、コミュニティと地域、そして自発性と参加はどうなっていくのでしょうか?このレクチャーは、1980年代から90年代のあいだに東南アジアで開催されたアーティストが先導したフェスティバルに関する私の最近の研究に由来します。国家を代表することがかつてはグローバルな舞台へと参加するための常套手段でしたが、これらの集まりはそれが現在性の必要不可欠な決定要素ではなかったことを示しています。また同時に、それは国際主義と言うよりも当時の東南アジアのアーティスト間の類似性を定義づけた地域主義でした。この現在性にふさわしい場はフェスティバルでしたが、それらはまたある程度の価値と支配力の蓄積、そして政治的な意見の相違を生じさせました。変化し続けるグローバルな文脈におけるアジア現代美術の研究において、この複雑性は何を意味するのでしょうか?

日時:2019年11月15日(金)19:00~21:00
場所:東京藝術大学上野キャンパス 大学会館2階 GA講義室
講義者:デビッド・テ(ライター、キュレーター、シンガポール国立大学准教授)
通訳:田村かのこ

photo by Alex Davies

デビッド・テ|David Teh
ライター、キュレーター、シンガポール国立大学准教授。専門は東南アジアの現代美術。これまでに、Unreal Asia(第55回オーバーハウゼン国際短編映画祭 2009)、 Video Vortex #7(ジョグジャカルタ 2011)、 TRANSMISSION(ジムトンプソン・アートセンター、バンコク 2014)、 Misfits: Pages from a Loose-leaf Modernity(世界文化の家、ベルリン 2017)and Returns(第12回光州ビエンナーレ 2018)など数々の展覧会を手がける。Third Text、ARTMargins、Afterall、Artforumなどの美術ジャーナルにも積極的に寄稿している。2017年にはMIT PressよりThai Art: Currencies of the Contemporary、2018年にはAfterall Booksよりデビッド・モリスとの共著として展覧会史シリーズ Artist-to-Artist: Independent Art Festivals in Chiang Mai 1992-98 を刊行。

お問い合わせ:
東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科 教員室
info-ga(at)ml.geidai.ac.jp