グローバル時代のアートプロジェクトを担うマネジメント人材育成事業「&Geidai」
特別講演会:グローバル時代の芸術文化概論 国際編シンポジウム
社会関与の芸術?
——美術・演劇・日本・アメリカ…

近年、「日本型アートプロジェクト」のように地域や社会に関与する芸術活動は国際的にも注目され、こうした活動を指す言葉が次々と生まれています。ソーシャリー・エンゲージド・アート、コミュニティ・アート、リレーショナル・アート、ニュー・パブリック・アート、地域アート、ソーシャル・アートなど、数多くのタームが錯綜していますが、その多くが欧米で生まれた美術理論からの援用であり、日本の事例に合わせて独自に解釈され、時に歪曲されながら使われているともいえます。しかし日本で実践されている活動は、こうして輸入されつつある理論で本当に説明できるのでしょうか?本シンポジウムでは、日本とアメリカの研究者・実践者を招き、美術と演劇の事例をひもときながら、「社会関与の芸術」に収まらないアートの形を模索します。

日時:2017年12月9日(土) 14:00~17:00
場所:東京藝術大学 上野キャンパス 音楽学部 5-109教室
入場無料。日英通訳有り。予約不要。定員260人。先着順。

*「&Geidai」は「グローバル時代のアートプロジェクト」をテーマに、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科が開講するアートマネジメント人材育成講座です。千住、上野・谷中、取手、3つの地域で東京藝術大学および在校生・卒業生が行っているアートプロジェクトを実践フィールドとして、ローカルな活動手法に長けたアートマネジャーが、グローバルな交流を求められる時代に向けて国際的な視座を持つことをめざしています。「国際編」では、国際シンポジウムや、海外からゲストを招いたレクチャーを通じて、アートプロジェクトにまつわる諸外国の最新事情を学びます。

 
※画像をクリックするとチラシをダウンロードできます

パネリスト:

ジャスティン・ジェスティ(Justin Jesty)
ワシントン大学 アジア言語・文学学科 助教授
戦後日本における美術と社会運動の関係について研究している。2018年秋にコーネル大学出版会より「Art and Engagement in Early Postwar Japan」を出版予定。近年、FIELDジャーナルにおいて「Japan’s Social Turn」と題する二部特集のエディトリアルを担当。これまでに、1940年代後半の芸術におけるリアリズムについて、写真家濱谷浩による1960年安保闘争記録について、土本典昭による水俣病に関するドキュメンタリーなどについて執筆をしている。http://washington.academia.edu/JustinJesty

 

長島確
ドラマトゥルク、東京藝術大学 音楽環境創造科 招聘教授
日本におけるドラマトゥルクの草分けとして、さまざまな演出家・振付家の作品に参加。近年は演劇の発想やノウハウを劇場外へ持ち出すことに興味をもち、アートプロジェクトにも積極的に関わる。参加した主な劇場作品に『アトミック・サバイバー』(阿部初美演出、TIF2007)、『4.48 サイコシス』(飴屋法水演出、F/T09秋)、『羅生門|藪の中』(パレスチナのアルカサバ・シアターとの共作、坂田ゆかり演出、F/T14)、『DOUBLE TOMORROW』(ファビアン・プリオヴィル演出、演劇集団円)ほか。主な劇場外での作品・プロジェクトに「アトレウス家」シリーズ、『長島確のつくりかた研究所』(ともに東京アートポイント計画)、『四谷雑談集+四家の怪談』(中野成樹と、F/T13)、「ザ・ワールド」(大橋可也&ダンサーズ)、『←(やじるし)』(さいたまトリエンナーレ2016)、『別の茶会』(「藝大茶会 それゆえに」内、東京藝大国際芸術創造研究科)など。

 

毛利嘉孝
東京藝術大学大学院 国際芸術創造研究科 教授
1963年長崎県生まれ。社会学者。文化/メディア研究。京都大学経済学部卒。ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジPh.D(. 社会学)、MA (メディア&コミュニケーションズ)修了。九州大学を経て現職。特にポピュラー音楽や現代美術、メディアなど現代文化と都市空間の編成や社会運動をテーマに批評活動を行う。主な著書に『文化=政治 グローバリゼーション時代の空間叛乱』、『ストリートの思想 転換期としての1990年代』、『はじめてのDiY』、『増補 ポピュラー音楽と資本主義』、共著に『入門 カルチュラル・スタディーズ』、『実践 カルチュラル・スタディーズ』、『現代思想入門 グローバル時代の「思想地図」はこうなっている!』、『ネグリ、日本と向き合う』など。2017年11月に『アフターミュージッキング』を刊行。

 

モデレーター:

熊倉純子
東京藝術大学大学院 国際芸術創造研究科 教授
パリ第十大学卒、慶應義塾大学大学院修了(美学・美術史)。(社)企業メセナ協議会を経て、東京藝術大学教授。アートマネジメントの専門人材を育成し、「取手アートプロジェクト」(茨城県)、「アートアクセスあだち―音まち千住の縁」(東京都)など、地域型アートプロジェクトに学生たちと携わりながら、アートと市民社会の関係を模索し、文化政策を提案する。東京都芸術文化評議会文化都市政策部会委員、文化庁文化審議会文化政策部会委員などを歴任。監修書に『アートプロジェクト─芸術と共創する社会』、共編書に『社会とアートのえんむすび1996-2000──つなぎ手たちの実践』(共編)、共著に『「地元」の文化力―地域の未来のつくりかた』など。

 

主催:東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科
助成:平成29年度 文化庁 大学を活用した文化芸術推進事業
「グローバル時代のアートプロジェクトを担うマネジメント人材育成事業 『&Geidai』」
認定:東京藝術大学130周年(公式プログラム)

お問い合わせ:
東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻教員室
info-ga(at)ml.geidai.ac.jp