修了要件特定課題研究：展覧会「エア/プール ─まちなかを攪拌する。」 | 東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻

修了要件特定課題研究：
展覧会「エア/プール　─まちなかを攪拌する。」

本研究科アートプロデュース専攻修士課程第1期生でキュレーション領域2年に在籍中の周浩（しゅう・こう）が企画・キュレーションを手がける、参加型まちなか展覧会「エア/プール─まちなかを攪拌する。」が、2017年9月29日から10月1日までの3日間にわたって、東急目黒線沿線「西小山駅」周辺の複数の会場にて開催されます。
周は、大学学部生の頃から私的な存在や社会のありかたについて関心を寄せ、実存主義と現象学を汲んだ独自の視点から、写真作品制作も手がけてきました。この度、本専攻の「修了要件特定課題研究」として、自身がこの2年間ほど生活してきた西小山の街を舞台に設定し、私的な視点をいかに公共空間の中へ溶け込ませうるかを考えます。一元的な単一の視点から語られる「大きな物語」としての歴史の文脈に吸い込まれていく、「情報」としての作品の寄せ集めではなく、より私的な視点や個別のストーリーを持って対話するアーティストたちとキュレーター、そして来場者の方々とのコラボレーションによって成立する展覧会を目指しています。
来場者の方々には、駅改札を出てすぐ、西小山駅前広場にて鑑賞マップを配布します。そこに、それぞれの方に自分自身がじっさいに作品を探して歩いた移動の記録や感想を書き加えていただきたいと考えています。さらには「この展覧会のアート作品」としてご自身が評価したものを撮影し、本展の特設ウェブサイトへの写真投稿を歓迎いたします。展覧会と関わるプロセスを通じて、参加する方々の意識の中に「新たな回路」が生まれ出て、街と展覧会を表す表象が描き換えられていくことを期待しています。どなたでも参加可能です。ぜひご高覧ください。

会期：2017 年9 月29 日（金）～10 月1 日（日）会期中無休
開場時間：12:00～19:00
会場：西小山駅前広場、西小山商店街、西小山公園ほか
アクセス：東急目黒線「西小山駅」改札外すぐ～徒歩15 分
＊参加無料。予約不要。

企画：周浩［東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻修士課程在籍］
主催：LSK
協力：西小山商店街振興組合、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科
本展特設ウェブサイト：https://airpool-nishiko.jimdo.com/

airpool_dm1

参加アーティスト（五十音順）：
うつゆみこ
金氏徹平
角文平
河野紘幸
久保田智広
室井悠輔
LILY SHU
MIRNA BAMIEH×平山晴花

展覧会構成：

◉西小山駅前広場（受付）　＊マップを受け取ってください。

◉西小山商店街各所
金氏徹平は、2年間にわたって西小山エリアに生活してきたキュレーターとのコラボレーションをベースに、「想像上の街の風景」を彫刻した新作を発表します。うつゆみこは、西小山を幾度も訪れてリサーチを行い、旧作も含めて現地での写真撮影をベースに制作したコラージュ作品を展示予定です。室井悠輔は、会場エリア内に点在するさまざまな「小さなもの」に手を加え再構成し、SNSを通じてそれらを写した写真を随時公開、来場者が作品探しに参加する仕掛けをつくりだします。角文平は、地域のエコロジーと文化の存続に関心を持ち、かつて北海道の人気があったけれど、不要となったお土産物のクマを素材にしたインスタレーション作品を発表します。

◉西小山商店街放送
MIRNA BAMIEH×平山晴花は、ハミングでつないだ人々の想いをサウンド・インスタレーションで伝えます。人々がほっと一息ついた時間に不意に行うハミングを録音・編集。ハミング曲を耳にすると思い出される、自分にとっての隠れ家やシェルターのような「居場所」。耳を澄まして他者の「心の声」を聴き取る、音声のみにより演出された作品。

◉カフェロッビア
河野紘幸は、共同体が持つエネルギーと個人が持つ感情との関係について問いかけ、繊維と染色の多重構造、その組織化する特性に着目した新作をカフェのウィンドウに展示します。工芸的美しさと彫刻的強さを合わせ持つ作品です。

◉西小山公園
日常に溢れる廃品に注目して制作活動を行ってきた久保田智広が、西小山エリアをはじめ、さまざまな場所で集めた不燃ゴミの数々に名前をつけ、その「価値」を再判断し取捨選択するパフォーマンス作品を発表します。

nishikoyama
西小山商店街風景　Photo: LILY SHU