新刊「ジャパノラマ――1970年以降の日本の現代アート」発売

本学の長谷川祐子教授編集の新刊「ジャパノラマ――1970年以降の日本の現代アート」が水声社より発売されました。2017年にポンピドゥー・センター・メッスで開催された「JAPANORAMA: NEW VISION ON ART SINCE 1970」展のフランス語版カタログに、多数の作品・展示写真を追加し、記録資料を大幅に増補した、待望の日本語版書籍です。本学科の毛利嘉孝先生や星野太先生も論考を寄せています。ぜひお近くの書店やオンラインストアなどでお求めください。

※本書の英語版は6月に発売を予定しています。

ジャパノラマ
1970年以降の日本の現代アート
長谷川祐子(編)

判型:A5変判並製
頁数:204頁
定価:3000円+税
ISBN:978-4-8010-0512-9 C0070
装幀:宗利淳一

【目次】
変化しつづける群島――「ジャパノラマ」展が提案するもの 長谷川祐子
六つのコンセプトからなる群島 長谷川祐子

ジャパノラマ
A. 奇妙なオブジェ・身体――ポストヒューマン
B. 80年代以前のポップとそれ以降
C. 協働、参加性、共有
D. ポリティクスを超えるポエティクス
E. やわらかで浮遊する主体性・極私的ドキュメンタリー
F. 物質の関係性・還元主義

一九七〇年以降の日本の現代文化――手紙による映画的パノラマ 小林康夫
東日本大震災とソーシャル・メディア 毛利嘉孝
陰翳の魔法の系譜、あるいは視覚的ブリコラージュの論理 北野圭介
大阪万博――戦後日本芸術のパノラマ 三木学
もの派 加治屋健司
八〇年代から考える現在 宮沢章夫
Post-ProvokeとPost-Conpora――一九七〇年代以降の日本写真を理解するために 清水穣
生を与える――日本のサブカルチャーにおける静止画の潜勢力 星野太
日本のパフォーマンス――「反体制文化」と大衆文化のあいだで エマニュエル・ドゥ・モンガゾン

【編者について】
長谷川祐子(はせがわゆうこ)
現在、東京芸術大学大学院教授。専攻、近現代美術史、美術館学、キュレイトリアル理論。金沢21世紀美術館館長、犬島家プロジェクト・アーティスティックディレクター。批評を基盤とするキュレイトリアル実践を内外で展開。イスタンブール(2001年)、上海(2002年)、サンパウロ(2006年)、UAEシャルジャ(2014年)、モスクワ(2017年)、タイランド(2021年)にて、ビエンナーレを単独・共同企画。日本現代美術については「ジャパノラマ」展のほか、菅木志雄、田中敦子、池田亮司、ダムタイプ、ライゾマティクス、SANAAなどの個展を企画。また主な著書に、『破壊しに、と彼女たちは言う――柔らかに境界を横断する女性アーティストたち』(東京芸術大学出版会、2017年)、『キュレーション――知と感性を揺さぶる力』(集英社新書、2013年)、『女の子のための現代アート入門――MOTコレクションを中心に』(淡交社、2010年)などがある。

【執筆者について】
エマ・ラヴィーニュ(Emma Lavigne)
現在、パレ・ド・トーキョープレジデント。主な展覧会企画に、「アトリエのような空――イヴ・クラインとその同時代の人々」(ポンピドゥー・センター・メッス、2020年)、第14回リヨン・ビエンナーレ「フローティング・ワールズ」(リヨン現代美術館、2017年)、第56回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展フランス館「セレスト・ブルシエ゠ムジュノ――レヴォリューション」展(2015年)などがある。

小林康夫(こばやしやすお)
1950年、東京都に生まれる。東京大学名誉教授。専攻、表象文化論、哲学。主な著書に、『《人間》への過激な問いかけ――煉獄のフランス現代哲学(上)』(水声社、2020年)、『オペラ戦後文化論』1・2(未來社、2016/2020年)、『絵画の冒険』(東京大学出版会、2016年)などがある。

毛利嘉孝(もうりよしたか)
1963年、長崎県に生まれる。現在、東京芸術大学大学院教授。専攻、社会学、文化・メディア研究。主な著書に、『バンクシー――アート・テロリスト』(光文社新書、2019年)、『アフターミュージッキング――実践する音楽』(共著、東京芸術大学出版会、2017年)、『増補 ポピュラー音楽と資本主義』(せりか書房、2012年)などがある。

北野圭介(きたのけいすけ)
1963年、大阪府に生まれる。現在、立命館大学教授。専攻、映画・映像理論、メディア論、現代芸術理論。主な著書に、『ポスト・アートセオリーズ――現代芸術の語り方』(2021年)、『映像論序説――〈デジタル/アナログ〉を超えて』(2009年、いずれも人文書院)、『新版 ハリウッド一〇〇年史講義』(平凡社新書、2017年)などがある。

三木学(みきまなぶ)
1973年、奈良県に生まれる。文筆家、編集者、色彩研究者、ソフトウェアプランナー。共編著に、『キュラトリアル・ターン――アーティストの変貌、創ることの変容』(昭和堂、2020年)、『新・大阪モダン建築――戦後復興からEXPO ’70 の都市へ』(2019年)、『フランスの色景――写真と色彩を巡る旅』(2014年、いずれも青幻舎)などがある。

加治屋健司(かじやけんじ)
1971年、千葉県に生まれる。現在、東京大学大学院教授。専攻、表象文化論、現代美術史。主な著書に、『アンフォルム化するモダニズム カラーフィールド絵画と二十世紀アメリカ文化』(東京大学出版会、近刊)、編著に、『宇佐美圭司 よみがえる画家』(東京大学出版会、2021年)、共編著に、From Postwar to Postmodern, Art in Japan 1945-1989: Primary Documents (New York: Museum of Modern Art, 2012)などがある。

宮沢章夫(みやざわあきお)
1956年、静岡県に生まれる。現在、早稲田大学教授。主な著書に、『東京大学「八〇年代地下文化論」講義 決定版』(2015年)、『時間のかかる読書』(2014年、いずれも河出書房新社)、共編著に、『NHKニッポン戦後サブカルチャー史――深掘り進化論』(NHK出版、2017年)などがある。

清水 穣(しみずみのる)
1963年、東京都に生まれる。現在、同志社大学教授。専攻、現代芸術論。主な著書に、『デジタル写真論――イメージの本性』(東京大学出版会、2020年)、『陶芸考――現代日本の陶芸家たち』(2016年)、『プルラモン――単数にして複数の存在』(2011年、いずれも現代思潮新社)などがある。

星野太(ほしのふとし)
1983年に生まれる。現在、東京大学大学院准教授。専攻、美学、表象文化論。主な著書に、『崇高の修辞学』(月曜社、2017年)、主な訳書に、ジャン゠フランソワ・リオタール『崇高の分析論――カント『判断力批判』についての講義録』(法政大学出版局、2020年)、カンタン・メイヤスー『有限性の後で――偶然性の必然性についての試論』(共訳、人文書院、2016年)などがある。

エマニュエル・ドゥ・モンガゾン(Emmanuelle de Montgazon)
現在、インディペンデント・キュレーター。小田原市文化財団コンサルタントを務めるほか、杉本博司や池田亮司などの海外プロジェクトを手掛ける。主な展覧会企画に、「Une Saison Japonaise 2017-2018」(アソシエイトキュレーター。ポンピドゥー・センター・メッス、2017-18年)、「あいちトリエンナーレ二〇一〇」(ゲストキュレーター。あいち芸術文化センター、名古屋市美術館ほか、2010年)などがある。