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Special Lecture Report
川出絵里

特別講演会
ブルーノ・ラトゥール
「新たな気候体制と3つの美学:
科学、芸術、政治」

 

2016/10/21

2016年7月16日開催

会場=東京藝術大学 上野キャンパス 音楽学部内5-109教室

東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科主催パブリック・レクチャー
(助成=在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本)

私たち、国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻は、今夏、特別招聘教授として、1970年代より精力的に研究を展開し、科学史、美術史、歴史、哲学、文化人類学、神学などさまざまな領域を横断、展覧会企画も手がける科学社会学者・科学人類学者、パリ政治学院副学長のブルーノ・ラトゥール教授をお招きして、全学生必修の「グローバル時代の芸術文化概論」、長谷川祐子教授の「アートプロデュース演習」などの授業とともに、一般公開の特別講演会を上野キャンパスにて開催しました。
ブルーノ・ラトゥール氏は、実践的観点から見た科学の実在を丹念に検証してきました。彼は人とモノを同位のアクターと位置づけ、その相互関係によって事象を説明しようとする社会科学理論、アクターネットワーク理論を創始しました。
講演会のタイトル「新たな気候体制Le nouveau régime climatique」とは何でしょうか? ラトゥール氏は、この言葉をその著書『Face à Gaïa(ガイアと向き合う)』(2015)の中で、いま、科学者の間で議論されている地質学用語の「人新世(アントロポセンAnthropocene)」という語のオルタナティヴとして提案しました。氏によれば、この新体制は革命に先立つ旧体制とは対立します。エコロジカルな変異は、フランス革命よりも、より広範囲ではるかに大きく、グローバルな重要性を持つ革命的な変化だ、というのです。この新体制は、法や政治、精神や文芸的編成においてフランス革命時と同様のいくつかの変化をもたらしました。ラトゥール氏は、これを表すために「新たな気候体制」という用語を提唱しています。今回の講演は、「新たな気候体制」と科学、芸術、政治の美学について議論し、教授が企画を手がけた3つの展覧会「イコノクラッシュ」「モノを公にする」「近代性をリセットする!」での経験談や展示イメージも交えながら、この新体制について語るものとなりました。

ここにその講義の動画を公開します(日本語逐次通訳付き)。

文=川出絵里[東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科助教]

Special Lecture: Bruno Latour
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