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現場からのレポート:アジアにおける現代美術の現状

クリッティヤー・カーウィーウォン氏レクチャー、2025年10月14日

本講演では、アジアにおける現代美術の変遷について、30年以上にわたるキュレーターとしての活動を通して得た知見を、現場からレポートします。包括的な調査ではなく、グローバリゼーション、政治変革、そして環境危機といった力によって形作られたアーティスト、機関、そしてムーブメントとの出会いや、生きた経験を反映しています。

1990年代以降、アジアのアート界は周縁から世界の注目の中心へと移行しました。しかし、可視性の高さは安定を保証するものではありません。ビエンナーレ、アートフェア、そして私立美術館の急速な台頭は、活力をもたらすと同時に、国家からの支援が弱まり、オルタナティブな空間が生き残りに苦戦する中で、脆弱性ももたらしました。

本講演では、観察と参加を基盤として、こうした変遷を辿り、変化する政治・環境条件の中で、アジア全域のアート・エコシステムがいかにして創造的かつ批評的な実践を維持し、主体性を取り戻し、未来に向けた新たな形の連帯を構想していくことができるのかを問います。

 

日時:2025年10⽉14⽇(火) 18:00-20:30
会場:東京藝術大学美術学部 中央棟第一講義室
定員:180名/先着順(事前申し込み不要・無料)
ゲスト:クリッティヤー・カーウィーウォン(ジム・トンプソン・アート・センター芸術監督兼キュレーター)
言語:英語/日本語の通訳あり
通訳:水田拓郎

主催 : 東京藝術大学美術研究科グローバル•アート•プラクティス(GAP)
共催:国際芸術創造研究科(GA)、キュレーション教育研究センター(CCS)

 

クリッティヤー・カーウィーウォン

タイ、バンコクにあるジム・トンプソン・アート・センターの芸術監督兼キュレーター。国際交流基金が2000年から2004年にかけて実施した「アンダー・コンストラクション」プログラムに参加。「The Open World」(タイ・ビエンナーレ、チェンライ、2023年)、「Imagined Borders」(第12回光州ビエンナーレ、2018年)、「Between Utopia and Dystopia」(メキシコシティ、2011年)、「Unreal Asia」(インターナショナル短編映画祭オーバーハウゼン、2009年)、「Under Construction」(東京、2000~2002年)など、アジア、ヨーロッパ、アメリカを含む各地で多数の展覧会を手掛ける。2018年にはニューヨーク近代美術館(MoMA)のキュレーター・リーダーシップ・センターの研究員に選ばれ、2020年からはシンガポール美術館の収蔵委員会のメンバーを務めている。最近では、「ドクメンタ16」 のアーティスティック・ディレクター選考委員会のメンバーとしても活動している。

*「アンダー・コンストラクション」:中国、インド、インドネシア、日本、韓国、フィリピン、タイのアジア7カ国出身の20~30代の若いキュレーター9名が、現地美術調査と議論を重ね、展覧会を作り上げる、国際交流基金の協働プロジェクト。

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