Skip to content

どこからが身体なのか——アートとテクノロジーをめぐる倫理の地平

身体とはどこから始まり、どこまでが「私」なのか。近代的な「個人」や「主体」を支えてきた思考の枠組みは、いま大きく揺さぶられています。果たして、その身体は誰のものなのでしょうか。

本トークイベントでは、世界的に活躍するアーティストのステラーク氏、バイオアートの先駆者オロン・カッツ氏、生命科学と表現をめぐり新しい芸術実践を展開する岩崎秀雄氏、そしてテクノロジーと身体をめぐる境界領域で倫理を問い直す福原志保氏をお迎えし、身体・倫理・テクノロジーをめぐる根源的な問いを掘り下げます。バイオテクノロジーやサイボーグ化、生命倫理、人間と環境をめぐる課題を多角的に検討し、アートとテクノロジーの交錯点から未来の身体像と倫理的転回を展望する対話の場です。ぜひご参加ください。

日時:2025年10月13日(月祝)18:00〜20:15(17:30開場)
会場東京藝術大学上野キャンパス 音楽学部 国際交流棟3Fコミュニティサロン(MAP No.19:エレベーターあり)
料金:無料 ※要予約
トークゲスト:ステラーク(パフォーマンスアーティスト)、オロン・カッツ(アーティスト、リサーチャー/キュレーター)、岩崎秀雄(研究者/アーティスト:早稲田大学教授)、福原志保(アーティスト)
通訳:田中ジョン直人(東京藝術大学助手)
司会:清水知子(東京藝術大学教授)
言語:英語/日本語(通訳あり)
主催: 東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科 清水知子研究室

予約フォーム:以下のお申込みフォームから事前予約をお願いいたします。
https://forms.gle/eTP9rohPRSxCUQi8A

お問い合わせ
東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教員室(リサーチ領域)
ga-research@ml.geidai.ac.jp

 

登壇者プロフィール

Stelarc(ステラーク)

パフォーマンスアーティスト(オーストラリア)。オーストラリア出身のパフォーマンスアーティスト。1970年代より19年程日本に居住し活動。バイオテクノロジー、メディカル・イメージング、人工物やロボット工学等を包括し、身体の具現化と媒介、アイデンティティ、ポストヒューマン等の問題を問うような作品を50年以上に渡り制作。代表作は日本のロボット工学者と共同制作し1980年に完成した「第三の手 Third Hand」。

また、現在進行形で、インターネットへの接続を可能とする電子拡張された耳を自身の腕に幹細胞を埋め込み「腕にある耳 Ear on Arm」を外科的に構築(2010年プリ・アルスエレクトロニカ、ハイブリッドアート部門のゴールデンニカを受賞)。近年もリモート・インタラクションやバイオセンシングシステムを取り入れたパフォーマンス作品等、精力的に新作に取り組んでいる。

 

オロン・カッツ

アーティスト/リサーチャー/キュレーター。西オーストラリア大学先端研究所(Institute of Advanced Studies)アカデミック・リード/ディレクター。同大学にて生物芸術研究センター「SymbioticA」を2000年に共同設立し、2024年までディレクターを務めた。現在は同大学から独立したラボとして活動を継続している。

1996年、イオナット・ズールとともに「ティッシュ・カルチャー&アート・プロジェクト(Tissue Culture and Art Project)」を立ち上げ、生物芸術分野を代表するプロジェクトとして高く評価されている。ヨハネスブルグ大学アート&デザインリサーチセンター「Visual Identities in Art and Design Research Centre」客員教授を務めるほか、ハーバード大学医学部リサーチフェロー、スタンフォード大学芸術・美術史学部客員研究員、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(ロンドン)における「Contestable Design」特任教授などを歴任。これまで十数回にわたり展覧会のキュレーションを手がけ、数多くのアートプロジェクトやパフォーマンスを制作してきた。作品は、ポンピドゥー・センター、ニューヨーク近代美術館(MoMA NY)、森美術館、アルス・エレクトロニカ、国立中国美術館など、世界各地の美術館で展示・収蔵されている。また、その研究や活動は、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、Wired、Time、Newsweek、Nature、Science などの主要メディアのほか、テレビ、ラジオ、新聞、オンラインメディアでも広く紹介されている。

 

岩崎秀雄

生命科学・生命美学研究者、アーティスト。生命をめぐる科学・思想・芸術を探究する生命美学プラットフォームmetaPhorestを2007年より創設・運営。バイオメディア・アートやバイオアートに関わる作品制作・創作研究を国内外で行うとともに,微生物を用いて生物時計や形態形成に関する生物学研究を行ってきた。早稲田大学理工学術院教授。主著に『<生命>とは何だろうか:表現する生物学,思考する芸術』(講談社,2013年)。

https://hideo-iwasaki.com

 

福原志保

生命と技術の倫理を探求するアーティスト/デザイナー。

2004年英国でBiopresence Ltd.を設立し、NESTA Pioneer Award、Prix Ars Electronica Honorary Mentionを受賞。アーティスティック・リサーチ「bcl」や創造における「倫理」と「エラー」を再発見するHuman Awesome Error (HAE) を展開。

Googleでは、身体とテクノロジーをファッションの素材で結びつける研究を主導し、Cannes Lions Product Design Grand Prixに貢献。ハードウェアデザイン部門の素材開発を行う傍ら、京都のPoiesis Labsで物質的な境界や倫理的な概念を結びつける活動をしている。

 

田中ジョン直人

アーティスト、リサーチャー、翻訳家(日英)。東京芸術大学大学院助手、桐朋学園大学非常勤講師。米大学で国際農業開発と美術史を専攻後、メーカー勤務を経て、現在は東京芸術大学の取手キャンパスとその周辺の小文間地区を題材に、大学史とマクロな社会史・人類史の接続点というテーマへ、文献調査、発表や展示、アーカイブ構築といった手法で迫る。また国内外で芸術・農業分野のイベントや講義を中心に通訳・翻訳を手掛ける。

 

清水知子

東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教授。専門は文化理論、メディア文化論。著書に『文化と暴力――揺曳するユニオンジャック』(月曜社)、『ディズニーと動物――王国の魔法をとく』(筑摩選書)、『21世紀の哲学をひらく――現代思想の最前線への招待』(共著、ミネルヴァ書房)、『芸術と労働』(共著、水声社)、『コミュニケーション資本主義と〈コモン〉の探求――ポスト・ヒューマン時代のメディア論』(共著、東京大学出版会)など。訳書に、ジュディス・バトラー『非暴力の力』『アセンブリー行為遂行性・複数性・政治』(共訳、青土社)、アントニオ・ネグリ+マイケル・ハート『叛逆 マルチチュードの民主主義宣言』(共訳、NHKブックス)、デイヴィッド・ライアン『9・11以後の監視』(明石書店)など。

Back To Top