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神戸・芸術祭シンポジウム ―キュレーションの構造と変容

このたび,「神戸・芸術祭シンポジウム ―キュレーションの構造と変容」を2025年11月9日(日)に神戸にて開催いたします。

 

特定の地域を舞台に,数年に一度の定期開催を特徴とする「芸術祭」は,2025年現在においてもその数を増しています。都市と結びつくアートプロジェクトは,しばしば他者と協働しながら場所を再想像して,その新たな価値を見出すことに向き合ってきました。これは場の関係論的な転回ともいえるでしょう。しかし,芸術祭においてそうした創造を担うのはもはや作品やアーティストだけではありません。それらを支える同時代のディレクション/キュレーションでは,多様性を志向(あるいは肯定)することは前提とされ,多主体かつ共創的なあり方が広がっています。そうであれば,ディレクターやキュレーターには,多様な主体とともに複雑な社会に直面することが求められるでしょう。そこにはどのような可能性や課題があるでしょうか。また,芸術を通じて社会や世界の多元性を目指すとき,それを表象に留めずにいかにして実現できるでしょうか。

そうした状況や問いに対して,本シンポジウムではディレクション/キュレーションの構造という切り口から,2000年代以降の神戸を対象に,「作品や実践の内容性といった個別の問題系」と「芸術祭の基盤となる仕組みの特性」を連続的に捉えることによってアプローチしてみたいと思います。オフミュージアムにおいて複層的に拡張された,社会的実践としてのディレクション/キュレーションについて考えるための方法論は美学美術史といった既存のフレームワークのみではありません。本シンポジウムでは,都市や行政/まちづくり,文化政策といった分野はもちろん,同時代的な芸術祭の動向と共通認識を持ちながらも,ながくアート分野と議論が共有されてこなかったメタデザインやシステミックデザインといったデザイン学分野の知とも協働を試みます。

第一部では, 神戸で行政・民間企業・非営利組織と主導が異なる芸術祭が複数並行して開催されてきたことに着目し,3つの主要な芸術祭【神戸ビエンナーレ/神戸六甲ミーツ・アート/下町芸術祭】からディレクション経験者をお招きして,3つの基調発表とディスカッションをおこないます。第二部では,芸術祭(吉田)・キュレーション(服部)・神戸(増田)・デザイン(水内)の専門家をお招きし,芸術祭のキュレーション実践に関連する諸問題について全体討議をおこないます。

本シンポジウムが,文化芸術の諸分野を横断してひろく考えを交わせる場となればと思いますので,みなさまのご参加をお待ちしております。

(主催・企画:松村大地 )
*本企画は,東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科修了要件特定課題研究として実施されます。

 

【開催概要】
日時:2025年11月9日(日) 14:00-18:00 (13:30開場)
場所:ArtTheater dB KOBE (神戸市長田区久保町6-1-1アスタくにづか4番館4階)
登壇者:谷口文保,高見澤清隆,小國陽佑+横堀ふみ+角野史和,服部浩之,増田匡,水内智英,吉田隆之,松村大地(GA)  (そのほか,各分野のフロアゲスト多数)
参加無料 (フォームより要申込,先着100名)
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSf8Q_djIkbzyab43BscnhErAwNnIEjuTXNmNMSdeW7uuRHsjg/viewform?usp=header

主催・企画:神戸・芸術祭研究プロジェクト (代表:松村大地)
*東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科修了要件特定課題研究
協力:東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科,神戸六甲ミーツ・アート,新長田アートコモンズ実行委員会,NPO法人芸法,NPO法人DANCE BOX
助成:公益財団法人神戸文化支援基金,公益信託神戸まちづくり六甲アイランド基金
問い合わせ:s4224302@stu.geidai.ac.jp

 

【アクセス】
ArtTheater dB KOBE
〒653-0041 神戸市長田区久保町6-1-1アスタくにづか4番館4階

・JRでお越しの方
新長田駅より徒歩 10分 ※神戸駅 – 新長田駅 5分 ※大阪駅 – 新長田駅 35分

・地下鉄でお越しの方
西神・山手線 新長田駅より徒歩10分 / 海岸線 駒ヶ林駅より徒歩3分

 

タイムテーブル】
14:00-14:20 登壇者紹介と企画趣旨
松村大地 「芸術祭におけるキュレーションの拡張と主体の多様化」

第一部 基調発表「神戸における芸術祭の諸相-実践者の報告から」
14:20-14:50 谷口文保 「神戸ビエンナーレを振り返って アートプロジェクト研究の視点から」
14:50-15:20 高見澤清隆 「民間の視座から眺める芸術祭」(仮)
15:20-15:50 小國陽佑+角野史和+横堀ふみ  「下町芸術祭におけるディレクションの多様性について」(仮)
15:50-16:20 ディスカッションと質疑応答 (司会:松村大地)

16:20-16:30 休憩

第二部 トークセッション「芸術祭のディレクション/キュレーション」
16:30-16:45 吉田隆之 「内外の芸術祭の動向と転換点」
16:45-17:00 水内智英 「複雑な社会に対する関係論的デザインアプローチ」(仮)
17:00-18:00 全体討議と質疑応答 (司会:松村大地)

 

【Panelist】


谷口文保 (神戸芸術工科大学 准教授)
【神戸ビエンナーレ 2007実行委員、2009~2015ディレクター】
1971年 兵庫県生まれ。1994年、筑波大学芸術専門学群卒業。2008年、神戸芸術工科大学大学院修士課程修了。2013年、九州大学大学院博士後期課程修了。博士(芸術工学)。専門は造形美術、アートワークショップ、アートプロジェクト。著書「アートプロジェクトの可能性 芸術創造と公共政策の共創」(九州大学出版会、2019年)。

 


高見澤清隆 (インディペンデントキュレーター)
【神戸六甲ミーツ・アート総合ディレクター】
1957年 神奈川県生まれ 1979年 大阪芸術大学卒業 写真家、博物館学芸員等を経てギャラリーのディレクションを始める。2010年六甲ミーツ・アート芸術散歩(現神戸六甲ミーツ・アート)の立ち上げに事務局長兼共同キュレーターとして関わり、現在は総合ディレクター。他、アートセンターやギャラリーの企画運営を神戸を中心に行っている。

 


小國陽佑  (ディレクター・キュレーター・NPO法人芸法理事長)
【下町芸術祭ディレクター・新長田アートコモンズ実行委員会 実行委員長】
1984年兵庫県豊岡市生まれ・神戸市在住。 長田区駒ヶ林町を拠点に様々な地域活動を通じたアーティストの表現活動の支援を行う。関西を中心とした芸術祭やアートプロジェクトのディレクターを兼任。

 


角野史和 (建築士・まちづくりコンサルタント)
【下町芸術祭ディレクター】
暮らしとともにある建物やまちを愛する散歩活動家・建築士・まちづくりコンサルタント。場所愛と1対1のお付き合いに基づいた建築設計、住民主体のまちづくり支援・地域計画・地域振興に携わる。モットーは「つっかけで会いにいける距離感でとにかく顔をつき合わすんや!」。

 


横堀ふみ (NPO法人 DANCE BOXプログラム・ディレクター)
【下町芸術祭ディレクター】
世界の様々な地域をルーツとする多文化が混在する新長田にて、独自の国際プログラムを志向する。併行して、日越の文化芸術交流を目指したユニット「VIAN」を運営。

 


服部浩之 (キュレーター/東京藝術大学准教授、国際芸術センター青森館長)
【現代美術・アートプロジェクト・建築】
早稲田大学大学院修了(建築学)後、約10年間アーティスト・イン・レジデンスに従事。フリーランスを経て、芸術教育に携わる。近年の活動に第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示「Cosmo-Eggs|宇宙の卵」(2019年)、「200年をたがやす」(2021年、秋田市文化創造館)がある。

 


増田匡 (神戸市中央区長、元 長田区長)
【行政・まちづくり】
1991年に神戸市役所入庁。2013年からの長田区役所勤務を契機に同区を好きになり、2017 年に明石から新長田へ移住。2019年から2021年まで長田区長を務め、幾つかの部署を経て2024年より現職。下町芸術祭は2015年から様々な形で楽しく係わり続けている。 好きなことはまち歩きとアート鑑賞。

 


水内智英 (京都工芸繊維大学 未来デザイン・工学機構 准教授)
【デザイン学】
武蔵野美術大学基礎デザイン学科で基礎デザイン学を、ロンドン大学ゴールドスミスカレッジでメタデザインを学ぶ。英日のクリエイティブエージェンシー勤務などを経て現職。ソーシャルイノベーションやシステミックデザインに関する研究・実践的プロジェクトを行う。著書に「多元世界へ向けたデザイン(共監訳)」など。

 


吉田隆之 (大阪公立大学大学院都市経営研究科教授)
【文化政策・アートマネジメント】
神戸市生まれ。大阪公立大学大学院都市経営研究科教授。日本文化政策学会理事。博士(学術)、東京藝術大学大学院音楽研究科博士後期課程修了。著書に『アートプロジェクトの変貌 理論・実践・社会の交差点』(水曜社、2025年)、『芸術祭と地域づくり “祭り”の受容から自発・協働による固有資源化へ』(水曜社、2019年)、https://yoshi-lab.org/

 

[Organizer/Facilitator]


松村大地 (東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科修士2年)
2001年生、美術作家・キュレーターとして活動。美術制作・作品群としての展覧会や芸術祭・空間を支える建築・その群と周辺環境からなる都市空間を行き来して芸術実践をする。修士では芸術祭のキュレーションについて研究。近年の企画に、「キュレーションの批評(性)」(京都市立芸術大学、2025)、「Parallel Circuit」展(東京藝術大学陳列館、2025)。

 

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