Skip to content

AIと臓器——芸術と人間性をめぐる問い

今日、AIは人間の鏡であり道具であり、そして私たちの創造のパートナーになりつつあります。あるいは、すでに人間はAIに置き去りにされているのかもしれません。AIは創造性を拡張し、新たな表現の可能性を切り拓く一方で、政治、倫理、身体性、そして芸術の本質に関わる根源的な問いを投げかけているように思います。

デジタル機能の多くを支えるオペレーティングシステムとなり、あらゆる創造の場に影響を与えているAIは、しかし、単なる技術的なツールにとどまらず、私たちの感性や知覚、さらには「人間であること」の定義そのものを再編成しつつあるのではないでしょうか。

私たちは、これからAIとどのように新しい関係性を築いていくことできるのでしょうか。AIが生み出す未来の物語はどのような政治性を帯び、どのような倫理的課題を孕むのでしょうか。またAIの登場により、人間の身体や感性はどのように変容しているのでしょうか。

本シンポジウムでは、AIと芸術、人間性をめぐる根源的な問いに、最前線のアーティストたちとともに迫ります。 AI技術を駆使し、日本の記憶をハイパーリアルに描く草野絵美氏、AIを「エイリアン的主体」として捉え、人間とAIの協働による創造を探求する岸裕真氏、バイオテクノロジーやスペキュラティヴ・デザインを用い、生命倫理や人間のあり方を問い直す長谷川愛氏、そして討議者として美学者の伊藤亜紗氏をお迎えし、AIが創造性、身体、倫理に与える影響を多角的に考察します。

 

日時:2025年4月5日(土)14:00〜16:30(13:30開場)
会場:東京藝術大学上野キャンパス 音楽学部5号館 5-109(MAP No.27)
料金:無料 ※要予約
定員:200名
トークゲスト:草野絵美(アーティスト)、岸裕真(アーティスト)、長谷川愛(アーティスト/慶應義塾大学准教授)
討議者:伊藤亜紗(東京科学大学教授)
司会:清水知子(東京藝術大学教授)
言語:日本語
主催: 東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科 清水知子研究室

予約フォーム:以下のお申込みフォームから事前予約をお願いいたします。
https://forms.gle/HD8faefUiXQa94WQ7

お問い合わせ:
東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教員室(リサーチ領域)
ga-research@ml.geidai.ac.jp

 

登壇者プロフィール 

草野絵美(アーティスト)

1990年東京生まれ。AI技術を駆使し、日本の記憶をハイパーリアルに描き、レトロフューチャーな視点から人間の本質を探求する。高校時代に原宿でストリート写真家としてデビュー後、FITミュージアムやV&A美術館で作品を発表。AIアートを中心に活動し、WWD JAPANの表紙を飾るほか、ForbesやVogueにも取り上げられる。2023年クリスティーズ×グッチのオークションでバーチャルドレスを発表。金沢21世紀美術館やグランパレなどで展示を行い、国際的評価を得る。「Satellite Young」の主宰として音楽活動も展開。

 

岸 裕真(アーティスト)

1993年生まれ。慶應義塾大学理工学部電気電子工学科卒業。東京大学大学院工学系研究科(電気系工学専攻)修了。東京藝術大学大学院美術研究科(先端芸術表現専攻)修了。AIを「Alien Intelligence(エイリアンの知性)」と捉え直し、人間とAIによる創発的な関係「エイリアン的主体」を掲げて、自ら開発したAIと協働して絵画、彫刻、インスタレーションの制作を行う。2023年よりほぼすべての制作において、AIモデル「MaryGPT」がキュレーションを担当。主な活動として、個展「Oracle Womb」(2025 / √K Contemporary)、「The Frankenstein Papers」(2023 / DIESEL ART GALLERY)など。

 

長谷川愛(アーティスト/慶應義塾大学准教授)

生物学的課題や科学技術の進歩をモチーフに、現代社会に潜む諸問題を掘り出す作品を発表している。代表作は(不)可能な子供、I wanna deliver a Dolphin…など。IAMAS、RCA、MIT Media Lab卒。現在、慶應義塾大学 准教授。MoMA、NMWA、MoCA Shanghai、森美術館、The XXII Triennale di Milano等国内外で展示を行う。著書「20XX年の革命家になるには──スペキュラティヴ・デザインの授業 」を出版。

 

伊藤亜紗(美学者/東京科学大学教授)

東京科学大学未来社会創成研究院/リベラルアーツ研究教育院教授。MIT客員研究員(2019)。もともと生物学者を目指していたが、大学3年次より文転。2010年に東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻美学芸術学専門分野博士課程を単位取得のうえ退学。同年、博士号を取得(文学)。主な著作に『目の見えない人は世界をどう見ているのか』(光文社)、『どもる体』(医学書院)、『記憶する体』(春秋社)、『手の倫理』(講談社)。第13回(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞、第42回サントリー学芸賞、第19回日本学術振興会賞、日本学士院学術奨励賞受賞。

 

清水知子(文化理論/東京藝術大学教授)

東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教授。専門は文化理論、メディア文化論。著書に『文化と暴力――揺曳するユニオンジャック』(月曜社)、『ディズニーと動物――王国の魔法をとく』(筑摩選書)、『21世紀の哲学をひらく――現代思想の最前線への招待』(共著、ミネルヴァ書房)、『芸術と労働』(共著、水声社)、『コミュニケーション資本主義と〈コモン〉の探求――ポスト・ヒューマン時代のメディア論』(共著、東京大学出版会)など。訳書に、ジュディス・バトラー『非暴力の力』『アセンブリー行為遂行性・複数性・政治』(共訳、青土社)、アントニオ・ネグリ+マイケル・ハート『叛逆 マルチチュードの民主主義宣言』(共訳、NHKブックス)、デイヴィッド・ライアン『9・11以後の監視』(明石書店)など。

Back To Top