Skip to content

ロージ・ブライドッティ特別講演会
今日の人文学における人間なるものとは何か?
Rosi Braidotti Special Lecture
What is the Human in the Humanities Today?

 

今日最も刺激的なフェミニスト・哲学者であり、最近は、「ポストヒューマン」理論によって人文学に大きな地殻変動を与えているロージ・ブライドッティ氏をお招きして「今日、人文学における人間なるものとは何か?」と題した特別講演会を開催いたします。
ブライドッティ氏は、西洋・白人・男性を中心に構築されてきた「人文学」をラディカルに批判しつつ、テクノロジーの発展によって情報や生命、身体や自然といった領域が大きく変容していく中で、新しい「人文学」を提唱してきました。今回の講演では、特にこれまでの「人文学」における「人間」という概念が持っていた権力関係を考察しつつ、新しい「人文学」における「人間」を検討します。

今回の講演会は、学外の方もご参加できる公開の講演会ですので、ご興味のある方はぜひご参加ください。
日 時:2019年6月4日(火)18:30~20:30
場 所:東京藝術大学上野キャンパス 音楽学部5-109教室

主 催:東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科
共 催:科研費基盤C「ポストヒューマニズムの時代における芸術学の再構築に向けた総合的研究」
科研費基盤B「ポストメディア文化研究の理論構築:創造産業の日英比較を中心に」(Post Media Research Network)
協 力:関西大学文学部

講演者:ロージ・ブライドッティ(ユトレヒト大学・教授)

討議者:
門林岳史(関西大学文学部准教授)
清水知子(筑波大学人文社会系准教授)

通 訳:田村かのこ

司 会:毛利嘉孝(東京藝術大学大学院教授)

参加費無料・当日先着順・事前受付なし(200名まで)。逐語通訳あり。

 

■ ロージ・ブライドッティ プロフィール

1954年イタリア生まれ、オーストラリア育ち。フェミニズム理論家、哲学者。オーストラリア国立大学、ソルボンヌ大学などで学び、1988年よりユトレヒト大学にて、女性研究プログラム創設時メンバーとして教鞭を執る。ユトレヒト大学女性研究オランダ研究学校の創設時ディレクター(1995–2005)、ユトレヒト大学人文学センターの創設時ディレクター(2007–2016)などを歴任。著書として本書の他に『不協和のパターン』(1991)、『ノマド的主体──現代フェミニズム理論における身体化と性的差異』(1994)、『メタモルフォーゼ──生成変化の唯物論的理論に向けて』(2002)、『トランスポジションズ──ノマド的倫理について』(2006)など。(ロージ・ブライドッティ『ポストヒューマン:新しい人文学に向けて』門林岳史監訳(フィルムアート社、2019年)略歴より転載)

 

■ 発表要旨

今日の人文学における人間なるものとは何か?
ロージ・ブライドッティ

本講演の前提は、わたしたちは現在、ポストヒューマンな収斂の地点に立っているというものである。すなわち、第四の工業時代と第六の絶滅の時代が収斂し、あるいは、差別と排除のパターンを永続化させる先進的な知識のエコノミーと、人間と人間以外の存在双方にとっての気候変動と荒廃の脅威が収斂する地点である。こうした収斂は、一方で西洋の人文主義の批判、他方で人間中心主義の批判を交差させるようなポストヒューマンな批判的介入を呼び求めている。本講演は、わたしたちの主体性の構成、知識の一般的生産、アカデミックな人文学の実践という三つの主要な領域に対して、この収斂が与える重大な影響について議論する。とりわけ以下の問いに取り組みたい。もはや知識生産が、大学のようなアカデミックないし公式の学問機関の特質ではないという事実は何を含意しているのか。環境人文学、デジタル・ヒューマニティーズ、神経人文学、生゠人文学、あるいは公共人文学、市民人文学、グローバル人文学などと称する新しい学際的なハブが突然成長していることをどのように理解するべきだろうか。本講演は、こうした批判的ポストヒューマニティーズの系譜学と、それらを評価するための枠組みの双方を提示する。

WHAT IS THE HUMAN IN THE HUMANITIES TODAY?
By ROSI BRAIDOTTI

This lecture is built on the assumption that we are currently situated in a posthuman convergence between the Fourth industrial Age and the Sixth Extinction, between an advanced knowledge economy, which perpetuates patterns of discrimination and exclusion, and the threat of climate change devastation for both human and non-human entities. This convergence calls for a posthuman critical intervention in the form of intersecting critiques of western humanism on the one hand and of anthropocentrism on the other. The lecture discusses the impact of this convergence upon three major areas: the constitution of our subjectivity, the general production of knowledge, and the practice of the academic Humanities. It addresses directly the following questions: what are the implications of the fact that knowledge production is no longer the prerogative of academic or formal scientific institutions like the university? What are we to make of the sudden growth of new trans-disciplinary hubs that call themselves: the Environmental and Digital Humanities, the Medical, Neural and Bio-Humanities, and also the Public, Civic and Global Humanities and so on?
The lecture offers both a genealogy of these Critical Posthumanities and a theoretical framework by which to assess them.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロージ・ブライドッティ著, 門林岳史監訳
『ポストヒューマン:新しい人文学に向けて』(フィルムアート社、2019年)

【関連イベント】

6月8日(土)-9日(日)国際シンポジウム “Posthumanities in Asia”  関西大学梅田キャンパス

https://www.facebook.com/events/598347180644352/

6月6日(木) 18:30-20:30 Prof. Rosi Braidotti 講演会 “FOUR THESES ON POSTHUMAN FEMINISM” 東京大学駒場キャンパス

 http://crystalqueer.net/prof-rosi-braidotti-講演会-four-theses-on-posthuman-feminism


お問い合わせ:

Info-ga(a)@ml.geidai.ac.jp

Back To Top