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特別シンポジウム
「ドイツと日本の戦後の『再教育(reeducation)』:
メディア、民主主義、アメリカニズムをめぐって」

『ザ・ネット』(2004年)、『オーバーゲームズ』(2016年)をはじめ、次々と問題作を発表してきたドイツのドキュメンタリー映画監督、ルッツ・ダンベック氏をお迎えして、特別公開シンポジウムを開催いたします。

ダンベック氏は、最近作『オーバーゲームズ』において、戦後のドイツがアメリカのパートナーとして民主化されていく過程と、その過程における状況を取り巻く文化産業や文化政策に焦点をあて、それを「再教育(reeducation)」として描きだしました。この「再教育」にあたって重要な役割を果たしたのは、アメリカの市場文化、消費文化、とくにアメリカから輸入された『ザ・プライス・イズ・ライト』や『ビート・ザ・クロック』などのテレビゲーム番組やクイズ番組です。
こうしたテレビ番組をあらためて見直すと、そこには精神病治療に用いられるさまざまなメソッドの残滓を見ることができます。これは単なる偶然なのでしょうか。それとも、ドイツの「集団的パラノイア」を治癒する文化政策のひとつだったのでしょうか。そして、こうした文化プログラムのもとで育てられた戦後世代が、1960年代末には、第二次世界大戦以前に青春期を過ごした彼らの父親世代を否定するラディカルな政治運動に走ったことは、これらの文化政策と、なんらかの関係があるのでしょうか。
ドイツと同様、戦後の日本文化も、アメリカニズムと切り離すことができません。テレビに限っても、その黎明期・普及期には、多くのアメリカのゲーム番組やクイズ番組が輸入されています。ゲーム番組の草分けである『ほろにがショー 何でもやりまショー』(日本テレビ、1953〜59年放映)は、もともとアメリカの視聴者参加型番組『エニシング・ゴーズ』をベースに、もうひとつのアメリカのテレビ番組『ビート・ザ・クロック』を参考にしながら制作されました。『ザ・チャンス』(TBS、1979〜86年放映)は、先出のアメリカのテレビ番組『ザ・プライス・イズ・ライト』の翻案であり、20余年にわたるその放映時にはNHKの人気長寿番組として広く一般に浸透していた『連想ゲーム』(NHK、1968〜91年放映)は、アメリカのテレビ局CBSによる番組『Password』をモデルに制作された番組だったことも、よく知られています。こうしたメディアと消費社会の成熟の背後に、いま私たちは、どのような政治を見ることができるでしょうか。
本シンポジウムでは、ルッツ・ダンベック氏に加え、日本におけるメディア、政治、プロパガンダ、そしてアメリカの問題に実践的に切り込んで来た映画監督、足立正生氏をお迎えし、社会学者の伊藤守(早稲田大学)と毛利嘉孝(東京藝術大学)の4人で、第二次大戦後敗戦国となったドイツと日本で、どのような「再教育」が、メディアにおいてなされてきたのか、アメリカ型の民主主義とはなんだったのか、そして、それがどのような政治を生んだのかをめぐり討議します。

*入場無料。予約不要。日・独逐語通訳付き。
*本シンポジウムに先立ち、9月28日(木)13:00〜17:00、29日(金)10:00〜19:00、東京藝術大学上野キャンパスを中心にルッツ・ダンベック監督を交えた学生向けのワークショップを、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科と早稲田大学メディア・シティズンシップ研究所、ゲーテ・インスティトゥート(東京ドイツ文化センター)の共催で、開催いたします。興味のある方は、下記、お問い合わせメールアドレスまでご連絡ください。

日時:2017年9月30日(土) 14:00〜17:00
場所:東京藝術大学 上野キャンパス 美術学部中央棟第2講義室

 

REEDUCATION

登壇者:
ルッツ・ダンベック[映画監督]
足立正生[映画監督]
伊藤守[早稲田大学教育・総合科学学術院教授]
毛利嘉孝[東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教授]

 

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ルッツ・ダンベック Lutz DAMMBECK

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足立正生 Masao ADACHI

 

主催:東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科
早稲田大学メディア・シティズンシップ研究所
ゲーテ・インスティトゥート(東京ドイツ文化センター)

お問い合わせ:
mouri(a)fac.geidai.ac.jp

東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻教員室
開室時間(上野): 10:00~19:00 (月・木・金)
電話(上野): 050-5525-2725
開室時間(千住): 10:00~19:00 (火・水)
電話(千住): 050-5525-2732
info-ga(at)ml.geidai.ac.jp

 

 

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