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メディア掲載

ブルーノ・ラトゥール
『ラトゥール:
根底からエコロジカルな危機を再考する』

2016/10/21

『The Japan Times on Sunday』2016年8月14日号掲載

7月に本研究科にお越しいただいたブルーノ・ラトゥール先生の取材記事が、英字新聞『ジャパンタイムズ日曜版』2016年8月14日号に掲載されました。取材は7月の来日時に丸の内の東京ステーションホテルのロビーで、一時間ほど行われました。科学ジャーナリストのマイク・スンダ氏によりまとめられた記事は、ラトゥール先生の取材時の発言からの引用をちりばめつつ、これまでの著作や仕事から、本研究科の授業「グローバル時代の芸術文化概論」やパブリック・レクチャーでもお話しいただいた、今日の生態系の現実と人間社会の関係をめぐる新たな体制についての議論、福島の被災地への思いなどに触れ、広範囲にわたる充実した記事となりました。
以下、記事中に引用された氏の発言から、いくつかご紹介します。

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「日本には、地球にかかわる観点がたくさんありますね。少なくとも、自然に対する感受性がある。それは、何事も起こることのない、固定した地上の上に暮らしていると信じている(日本人以外の)他者にとって、興味深い教えです」。

「いまや、この永久ではないという感覚は、あらゆる土地に住む人々によって、共有されています。あらゆる人々が、資本主義の廃墟に住まう方法を習得しなければならないのです。ですから、このエキゾチックで──あるいは、少々、古風な──日本の思想の特異性は、グローバルなエコロジカル・クライシスを前に、従来とはひじょうに異なる方向に向かっているわけです」。

「私には、福島と被災地に戻ろうとしている人々について研究している良い友人がいます」。「廃墟の中でどのようにして暮らしたらよいのでしょうか? その意味では、福島もまた──こう言ってよいのかわかりませんが……[現地の事態は]恐ろしいことに映りますし──私たちに未来を見せてくれているのかもしれません。私たちは、[みな]消え去った技術的システムの廃墟の中に、生きていかなければならなくなるのでしょうから。そして、不運なことに、ある意味で、それが、私たちみなにとっての、比喩的でメタフォリカルな状況なのです」。

「『人新世(アントロポセンAnthropocene)』は、確かに、[人間の]活動によって残された痕跡とは何かについての問いかけであり、その痕跡の起源を、土砂や水の利用を通じて、化学的に、微少に、測定するものです。この痕跡とは、地球における私たちの集合的な行動の痕跡です。それは十二分にドラマチックであり、もうこれ以上、『ハリウッド映画的』である必要すらないほどです──あまりに劇的であるため、ドラマ化はまったく必要ないのです」。

文・翻訳=川出絵里[東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科助教]