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「アートプロジェクトのピアレビュー」
book project 進行中

 

日々プロジェクトの実践に追われ、自身を振り返る時間もなく、もやもやと悩みを抱えて孤軍奮闘するアートプロジェクトの当事者たち。本書は、見えづらい価値を模索するアートプロジェクトの現場に、「現場を幸せにする評価」として「ピアレビュー」という方法をおすすめする1冊です。

 


 

「ピアレビュー」とは、同一の他者(ピア)をとともに行う評価(レビュー)の方法。同じ地平に立つ”類似の他者”の視点を借りて、鏡のように自己を見つめなおす評価手法です。今回、ピアレビューを実践したプロジェクトは口を揃えて「仲間ができた」といいます。評価を行って「仲間」ができるとはどういうことでしょうか。規模も対象者も異なるプロジェクトである彼らは、一体何を持って「仲間」だと感じたのでしょう。

本書は、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科が2016年から3年間開催した、「グローバル時代のアートプロジェクトを担うマネジメント人材育成事業 (&Geidai)」の中で行われた「アートプロジェクトの評価」研究会の3組6団体が、「ピアレビュー」に取り組んだ記録です。
各チームが、自身のプロジェクトをよりよくしたい、という思いのもと手探りで行った3通りの評価の軌跡を紹介し、また、実践者や研究者などさまざまな立場の人の視点からピアレビューを読み解きながらも、エッセイやイラスト、マンガにより重層的で多角的な内容となっています。評価に馴染みのないアートプロジェクトの現場でも、この1冊でアートプロジェクトの評価手法、特にピアレビューについて学ぶことができる入門書となっています。(2019年度内の出版をめざしてがんばります。)