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Special Lecture Report
川出絵里

特別講義
アンセルム・フランケ
「錯乱のミュージアム」

東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科主催パブリック・レクチャー

(助成=文化庁 「平成28年度 文化庁 大学を活用した文化芸術推進事業:グローバル時代のアートプロジェクトを担うマネジメント人材育成事業:& Geidai グローバル時代のアートプロジェクト 国際理論編プログラム」)

2016年11月17日開催
会場=東京藝術大学 上野キャンパス 音楽学部内5-109教室

国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻では、今秋、特別招聘教授として、ベルリン「世界文化の家」ヴィジュアル・アート&フィルム部門のディレクターで、キュレーター/ライターのアンセルム・フランケ氏をお招きして、全学生必修の「グローバル時代の芸術文化概論」、長谷川祐子教授の「アートプロデュース演習」などの授業とともに、一般公開の特別講演会を上野キャンパスにて開催しました。
フランケ氏は、展覧会プロジェクト「アニミズム」(2010〜2014)をはじめとして、台北ビエンナーレ「モダン・モンスターズ/フィクションの死と生」(2012)や上海ビエンナーレ「社会工場」(2014)などの企画で世界的に活躍しているキュレーターです。本講演では、「『近代的』であるとは何を意味するのか?」という大きな問いからスタートし、19世紀後半以降、技術革新や科学、社会変革など、近代化のさまざまな側面との関係において発展してきた、近代美術とモダニズムについて、丹念に検証しながら語っています。フランケ氏の関心は、ある特定の知の形態が生産されてきた「近代の発明としてのミュージアムという制度」にあります。自身の手がけた展覧会からの例証をスライドで見せながら、安易に表象したり、インスティテューションの中で陳列したりすることのできない知の形態について論じています。いわゆる「前近代的」、アニミスティック(物活論的)な実践は、構造的に変容され、近代的な知の体系に挿入されることなしには、ミュージアムの中で展示することはできません。けれども、いかにして、そのような変容自体が、展覧会のトピックとなることが可能なのでしょうか? 
ここにその講義の動画を公開します(日本語逐次通訳付き)。

文=川出絵里[東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科助教]

Special Lecture: Anselm Franke
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