『ヘンリーカウ:世界とは問題である』(月曜社刊)の著者ベンジャミン・ピケットを迎えて

『ヘンリーカウ:世界とは問題である』(月曜社刊)の著者ベンジャミン・ピケット氏(コーネル大学音楽学部教授)を迎えて特別講義を行います。興味のある方はどなたでも参加できます(要事前登録。定員40名)。ぜひお越しください。

申し込みはこちら(定員に達したために受付は終了しました (2024.08.18))

日時:2024年9月3日(火)18:00-20:00
会場:東京藝術大学上野キャンパス 国際交流棟 4F GA講義室
報告者:ベンジャミン・ピケット(コーネル大学音楽学部教授)
登壇者:横川理彦(音楽家、After Dinnerなどに参加)、中川克志(横浜国立大学准教授)
司会:毛利嘉孝(東京藝術大学教授)
通訳:植田悠

主催:東京藝術大学大学院 国際芸術創造研究科 毛利嘉孝研究室
言語:日本語/英語(逐次通訳あり)

特別講義: トランスーション:ヘンリー・カウ、ロック、インプロヴィゼンーション、実験音楽、サウンドアートの発展史

ベンジャミン・ピケット氏は、ヘンリー・カウがロック、即興演奏、現代音楽の世界をどのように行き来したのか、どのようにしてある領域から別の領域へとアイデアを翻訳していったかについて語ります。さらにピケット氏は、彼が現在取り組んでいるプロジェクトを紹介します。これはサウンド・アート(という概念)の歴史研究で、サウンド・アートという美的概念がローカルな諸状況にどのように「翻訳」されるのか、ということを調査するものです。その後、横川と中川が、それぞれ、ヘンリー・カウとサウンド・アートの観点から応答し、最後にフロアとのディスカッションに移行する予定です。

ベンジャミン・ピケット

コーネル大学音楽学部教授。1960年代以降の音楽とパフォーマンスを研究し、現在は、サウンド・アートの歴史を調査している。ハンプシャー大学で音楽と哲学を学び、ミルズ大学で作曲の修士号を取得。アルヴィン・カランとポーリン・オリヴェロスに師事。カリフォルニア大学サンディエゴ校の批評研究/実験実践プログラムに参加した後、コロンビア大学で歴史音楽学の博士号を取得。

彼の最初の単著『(Experimentalism Otherwise: The New York Avant-Garde and its Limits)』は2011年にカリフォルニア大学出版局より出版された。フリー・ジャズ、ケージ的なアヴァンギャルド、フルクサス、当時の急進的な政治運動、ポピュラー音楽の交差点に位置する本書は、1960年代のニューヨークの実験主義を一連の対立、闘争、排除として描いている。2019年には『ヘンリー・カウ――世界とは問題である』を出版(デューク大学出版局)。本書はイギリスのロック・バンド、ヘンリー・カウ(1968-78)の叢伝で、ヴァナキュラーな音楽家たちが、商品形態、商業市場、受容と伝達の聴覚的・触覚的な様式によって規定された空間において、古いアヴァンギャルドの政治学をどのように作り変えたのかを調査したものである。

編著に『明日こそが問題だ:実験音楽研究の新しい方向性(Tomorrow is the Question: New Directions in Experimental Music Studies)』(ミシガン大学出版局、2014年)がある。また、ジョージ・E・ルイスの共同編著に『The Oxford Handbook of Critical Improvisation Studies』(2016年)がある。

参考リンク

Benjamin Piekut: Networks, Materials, and Forms – YouTube https://www.youtube.com/watch?v=RqHG0NJh2r8

“Sound Against Music: The Musical Amateurs of the Judson Dance Generation,” TDR: The Drama Review, 2024. https://muse.jhu.edu/article/932475

“Instead of ’Sound Art,’ say ‘Undisciplined,’” interview by Bill Dietz, Overtoon, 2024. https://overtoon.org/podcasts/instead-of-sound-art-say/#episode-1755

From Poetry to Sound Art, through performance: A conversation with Peter Weibel | | Flash Art https://flash—art.com/2020/03/listening-in-1-benjamin-piekut-peter-weibel/

The Vernacular Avant-garde: A Speculation / Tamara Levitz and Benjamin Piekut – ASAP/J https://asapjournal.com/feature/the-vernacular-avant-garde-a-speculation-tamara-levitz-and-benjamin-piekut/

謝辞
本研究会はJSPS科研費基盤C24K03444「サウンド・アート勃興期における音楽と美術とサウンド・アートの関係性の解明」(研究代表者:中川克志)の助成を受けたものです。