特別講義:C・J・ワン-リン・ウィー「ミレニアムの終わりにおける現代アジア:香港映画の境界を越えて、都市空間における共通点と相違点を考える」

南洋理工大学教授のC・J・ワン-リン・ウィー氏を迎えて特別講義を行います。
興味のある方はどなたでも参加できます。ぜひお越しください。

日時:2024年7月5日(金)18:00-19:30
会場:東京藝術大学上野キャンパス 国際交流棟 4F GA講義室
報告者:C・J・ワン-リン・ウィー(南洋理工大学教授)
司会:毛利嘉孝(東京藝術大学教授)
主催:東京藝術大学大学院 国際芸術創造研究科 毛利嘉孝研究室
言語:英語

近刊の『A Regional Contemporary』は、現代アジアの複雑な可能性を探る書籍です。この本では、1979年から2008年にかけて増加したビエンナーレ形式の美術展、近現代美術の新しい言説、無秩序な大衆文化といった文化的表現が、北東アジアと東南アジアの地域においてどのように相互接続され、共有された現代の地域的アイデンティティをパフォーマティブに投影しているかを調査しています。資本主義の近代化と都市化は、アジアの想像力の中心です。
東アジアの大衆文化において、アーバン・モダンはどのように表現されたのでしょうか? 私は、ミレニアムの終わり頃に香港映画界で行われた2つの実験に焦点を当てます。この時期、中国系民族の観客が減少していたため、市場や文化の流れの国家外ネットワークを通じて多元化していた中産階級にアピールする多言語映画が作られました。この地域の建造環境(built environment)が、これらの実験に不可欠でした。紹介する2本の映画は、リー・チーガイ監督の『不夜城』(Fuyajo/Bu ye cheng、1998年)と、ジングル・マ監督の『東京攻略』(Dongjing gonglue、2000年)です。『不夜城』は、歌舞伎町におけるアイデンティティと忠誠心の変遷を、中国系ギャングとのハーフを中心にノワール調で描いた作品です。『東京攻略』は、この地域の市場近代性のリビディニゼーション(libidinization)に合致した作品です。これらの映画は、この地域がナショナルでもトランスナショナルでもない都市空間を内包していることを示しています。

C・J・ワン-リン・ウィー (C. J. W.-L. Wee)
シンガポール、南洋理工大学英語科教授。インド・デリーの発展途上社会研究センター、コーネル大学人文学会などで客員研究員を務める。著書に『The Asian Modern: Culture, Capitalist Development, Singapore』(2007年)がある。『A Regional Contemporary: Art Exhibitions, Popular Culture, Asia』(MIT Press)を近日出版予定。