学際的な展覧会《Touch My Mumblings, Hug My Words, Kiss My Singing》

概要

「Touch My Mumblings, Hug My Words, Kiss My Singing」
会期:2023年6月1日(木)〜 6月4日(日)
パフォーマティヴ・ウォークスルー:6月1日(木)〜 6月3日(土)16:30 / 18:00 / 19:30 ※要予約
展示期間:2023年6月4日(日) 11:00 – 17:00 ※入場は閉館の30分前まで
料金:無料
会場:旧平櫛田中邸アトリエ
住所:東京都台東区上野桜木2-20-3

展覧会について

Touch My Mumblings, Hug My Words, Kiss My Singing(タッチ・マイ・マンブリングス、ハグ・マイ・ワーズ、キス・マイ・シンギング)は、視覚芸術、パフォーマンス、音響空間を融合させた、複層的な体験型展示です。日本の伝統建築と近代建築が融合した「旧平櫛田中邸アトリエ」を会場に、自叙伝的な物語や世代間の記憶を呼び起こし、観客と共有します。会場を「おばけ屋敷」に見立てることで、形而上学的で社会政治的かつ私的な記憶を呼び起こすことを可能にしています。

本展では、私たちが経験せずとも感じている「他者の記憶」を共有します。急進的な近代化、西欧化、帝国主義、植民地主義によって、東アジアのアイデンティティや関係性は世代によって変化しており、個人的、家族的、そして国際的なスケールで、東アジアのアイデンティティを理解することは容易ではありません。自分や自身の文化的アイデンティティをより深く理解しようと祖父母の記憶を辿っても、個々の経験が濁流のように押し寄せ、絡み合った国の歴史に捕らわれてしまうのです。このプロジェクトのディレクターであるキム・ソンは、「私の祖母は、植民地時代の生活を共有すべきではないと思ったのか、自分の記憶は『知るに足らない』と一蹴しました。祖母の沈黙に反して、形のない幽霊となった彼女に取り憑かれたように、彼女の記憶を継承しているような気がするのです。」と言います。

本展示では、このような彼女の個人的な経験をもとに、幽霊的な記憶の形に触れながら、それがいまどのように現れているのかを探求します。 本展の大きな特徴の1つは、個人的なフィクションを中心に作品がキュレーションされており、パフォーマンスとサウンドスケープがこの物語の中でさまざまな作品を織り交ぜ、お化け屋敷の形式で織り交ぜられて表現されていることです。 (O)Kamemochiは、この形式を「パフォーマティヴ・ウォークスルー」と名付けました。この形式では、物語を体現するサウンドスケープとパフォーマーが、所定の数の観客を展示会の中をガイドします。 パフォーマンスとサウンドスケープは本展示のストーリーやテーマを伝えるだけでなく、観客の記憶と展示作品とが共鳴する一瞬をいきいきと浮かび上がらせます。

本展は「食べる(所有する)」「翻訳する」「歌う」という3つの物語の流れに沿い、多声的なマイクロ・ナラティブを展開します。そして、各作品は個々の「継承された記憶」や「過去からの解放」を結びつけ、より大きなストーリーを作り上げます。同時に、深い意味を持つ作品一つひとつが特有の声色を響かせます。

パフォーマティヴ・ウォークスルーは、6月1日から6月3日の16:30 / 18:00 / 19:30 の時間帯で体験できます(要予約)。6月4日は展示のみオープン。パフォーティヴ・ウォークスルーに参加できなかった観客は、予約なしで11時から17時まで様々な作品を楽しむことができます。

パフォーマティヴ・ウォークスルーセッション*
• 6月1日(木):①16:30 – 17:30 ②18:00 – 19:00 ③19:30 – 20:30
• 6月2日(金):④16:30 – 17:30 ⑤18:00 – 19:00 ⑥19:30 – 20:30
• 6月3日(土):⑦16:30 – 17:30 ⑧18:00 – 19:00 ⑨19:30 – 20:30

*要予約。開場は開始15分前。予約フォームのリンクはこちら

展示期間
• 6月4日(日) 11:00 – 17:00(入場は閉館の30分前まで)

出展作家:Bones Tan Jones / 唐沢絵美里 / Sun Kim / 北村 元統 / 小松原裕輔 / カク・ミンジェ / 大川 恵実 / 大木戸美緒 / Marlies Pahlenberg / 汪 明翔
パフォーマー: 尾畑さくら, 酒井直之, 豊田 ゆり佳
サウンドスケープアーティスト:レオニード ・ズヴォリンスキー

関連プログラム

オンライントークイベント(日本語/英語の通訳あり)

“Girl, Your Body Has So Many Holes for Straws : 多孔的な記憶に向けた個人の物語に基づく展覧会を取り持つパフォーマティブキュレーション”

日時:2023年5月24日(水) 19:00 (JST) – 20:30 (JST)
モデレーター :キム・ソン (Touch My Mumblings, Hug My Words, Kiss My Singing ディレクター)
討議者: Adulaya Hoontrakul (バンコク芸術文化センター ディレクター)、長島確(東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科准教授、東京芸術祭 ディレクター)
通訳者:宮澤佳奈
テクニカルスタッフ:庄子渉
アシスタント:長田ポンシリ・アリサ

Zoom Webinarリンク (15分前からアクセス可能)
https://us06web.zoom.us/j/81055674146?pwd=RG5IWnRUYXZHUGFOekxiUGxXNGpxUT09
ウェビナーID:810 5567 4146 / パスコード 136819

“Girl, Your Body Has So Many Holes for Straws : 多孔的な記憶に向けた個人の物語に基づく展覧会を取り持つパフォーマティブキュレーション”では、キュレーションの方法論として個人的かつ自律的な物語の可能性を探求しています。今回のイベントのメインタイトル「Girl, Your Body Has So Many Holes for Straws」は、韓国の詩人キム・ヘスンの詩のタイトルから引用されたものです。彼女は自らの身体を通じて言語を生み、その身体を通じて「他者」を生みます。彼女にとって、その穴は、無限の他者を生み出し、同時に自らの言葉と身体で他者と交わることができる新たな次元です。
モデレーターのキム・ソン氏(近日開催予定の学際的展覧会「“Touch My Mumblings, Hug My Words, Kiss My Singing”ディレクター)が、各分野の専門家2名、長島確氏(東京芸術祭ディレクター)とアデュラヤ・フーントラクル氏(Bangkok Art and Culture Centreディレクター)と演劇パフォーマンスの視点を横断することによるオルタナティブなキュレーションの視点で対談します。
今度の展覧会に向けてリサーチをしているうちに、ソン氏は祖母だけでなく、祖母の世代の多く、特に植民地主義と近代化を経験したアジアの人々が共通して自分自身について話すことをためらっていることに気づきました。彼女はまた、彼女らの沈黙が意識的または無意識的にさまざまな形で彼女らの世代に影響を与え、明確に説明できない感情や心の傷を彼女らに残していたことにも気づきました。
ソン氏は、このトークセッションを通して、私たち自身の身体と言語を通じて、祖母の世代のような無限の隠れた人達を解放し、交流する場をどのように育むことができるかについて、パネルの考えを聴衆と共有することを目指しています。これにより、私たち自身の物語と「他者」の物語が共存する多孔質な想像力の実現を目指します。

[登壇者について]

長島確
准教授/ドラマツルギー、上演芸術
専門はパフォーミングアーツにおけるドラマツルギー。舞台字幕や上演台本の翻訳から劇場の仕事に関わり始め、やがて演出家や振付家の創作のパートナーであるドラマトゥルクとしてさまざまな舞台芸術の現場に参加。劇場のアイデアやノウハウを劇場外に持ち出すことに興味をもち、アートプロジェクトにも積極的に関わってきた。東京芸術祭FTレーベルプログラムディレクター。著書に『アトレウス家の建て方』他。訳書にベケット『いざ最悪の方へ』、『新訳ベケット戯曲全集』監修・共訳)など。

Adulaya Kim Hoontrakul 
美術キュレーター兼歴史家。 SOAS で美術史と音楽考古学の学士を取得し、ゴールドスミス ロンドン/ラサール芸術大学でアジア美術史の修士を取得。東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科博士課程の学生であり、現在はバンコク芸術文化センターのディレクター。アジア太平洋地域の複数のアーティストと協力し、学際的な展覧会を開催。現在の研究は脱植民地化対話と工芸の政治学。

キム・ソン
キム・ソン(韓国、ソウル生まれ)はキュレーター、リサーチャー、アーティストであり、疎外された記憶、感覚、言語を公共の場で解き明かすことのできるポリフォニックな物語を想像している。最近では、体験したことがなくても感じることができる抑圧されたまま継承された記憶について疑問を投げかけ、現代の文脈におけるミクロで多孔的な記憶を探求している。アートソンジェセンターのキュレーションチームで活動。さらに、韓国と日本のアートスペース、学校、オルタナティブな文化空間において、ディレクター、キュレーター、アーティスト、空間デザイナーとして様々なプロジェクトを主導し、参加している。現在、自分の興味と芸術的実践を結びつけたパフォーマティブで学際的なアートプロジェクトについて修士課程で研究しているところである。


ディレクター:キム・ソン
プロデューサー:長田ポンシリ・アリサ
アシスタントプロデューサー:グリディヤル・ダウティ
パフォーマンスディレクター:Dan Dagondon
パフォーマンスマネージャー:平野みなの / 張藝逸
キュレーター:キム・ソン / Chloe Paré / Finn Ryan
グラフィックデザイナー:クレオ・ベストペン (画像撮影- 郭青泉)
広報:キム・ソン / 長田ポンシリ・アリサ
映像翻訳:平河伴菜
テキスト翻訳:平野みなの/ 矢島瀬礼奈/ 田中ジョン直人

助成:武藤舞 音楽環境創造教育研究助成金
協力:岡山県井原市、上野桜木旧平櫛田中邸、NPO法人たいとう歴史都市研究会、一般社団法人谷中のおかって
主催:(O)Kamemochi
(O)Kamemochiは、ファインアート、キュレーション、演劇、プロダクション、音楽など様々な分野の国際的かつ学際的な集団芸術グループです。コアメンバーは全員、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科に在籍する現役学生です。現在は、集団的な作業プロセスに基づく学際的なアートプロジェクトに力を入れています。

お問合せ:okamemochi.collective@gmail.com
インスタグラム: @okamemochi.collective