GCS・GA 共催ゲスト・トーク
ポリフォニックな声を求めて:キュレーションと近接性の美学
講師:柯念璞(キュレーター)

10月14日(金)、本センターの特別講義シリーズ「グローバルアーティストのためのリベラルアーツ講座」の一環として、台湾のキュレーター、柯念璞(コー・ネンープ)氏によるゲスト・トークを開催いたします。

柯念璞氏は台北とニューヨークを拠点に活動するキュレーター・ライターであり、2010年代からアジアの近現代史、国民国家、植民地主義の問題に焦点を当てた展覧会をキュレーションしています。彼女のプロジェクトは、アートが異なる歴史を再評価し、オルタナティブな美学の形式を通じて、知覚のもうひとつの系譜・様式を輪郭づける媒介的な空間を作り出す方法に焦点を当てています。台湾、高雄市立美術館では、回顧展「Tony Oursler : Black Box」(2021年)の共同キュレーター、また台新芸術賞にノミネートされた「Tomb of the Soul, Temple, Machine and the Self」(2018年)のキュレーターを務めました。2022年には、ニューヨークのInternational Studio & Curatorial Program (ISCP) のキュレーター・イン・レジデンスに参加しています。

本レクチャーでは、東アジアにおけるアートのポリティクスを国家や近代史の「排除と包摂」のメカニズムと関連づけて再考する彼女のキュレーション実践についてお話します。また、台湾のアーティスト王虹凱(ワン・ホンカイ)との共同プロジェクト「fuengu」(台湾原住民ツォウ族の言葉で「山」)を紹介し、日本植民地時代から戦後にかけて、ツォウ族の思想家、作曲家、先住民族の自治運動の先駆者であった​​ウオグ・エ・ヤタウヨガナ​​(1908-1954)の音楽的遺産とその生涯を探るサウンド・プロジェクトについてお話しします。

これらの展覧会・プロジェクトを通じて、芸術という形式における集団性の可能性、そしてそれがいかにして権力構造を問いに付し、認識、治癒、エンパワーメントのかたちを生み出しうるかについて議論します。

なお、このトークイベントは大学院国際芸術創造研究科との共同企画となっております。興味のある方はぜひご参加ください。

日時:2022年10月14日(金)16:20-17:50
場所:上野校地 大学会館2F GA講義室
ゲスト:柯念璞(キュレーター、台湾)
モデレーター:江上賢一郎(グローバルサポートセンター特任助教)
参加方法:対面(20名まで)
申し込み:https://forms.gle/inZqRCoL92eF1E6V9  (Google Formでの要予約)
使用言語:英語(通訳はありません)
※本講義はアーカイブ用に録画され、後日公開される場合があります。

ゲスト・プロフィール:
柯念璞(コー・ネンープ)は台湾出身のキュレーターで現代美術や映画、サウンドを含めた学際的プロジェクトにおいて活動しています。彼女が所属する高雄市立美術館では、「パン・オーストロネシア芸術祭」(2021)、「トニー・アースラー:ブラックボックス」(2021)、「SUNSHOWER:東南アジアの現代美術 1980年代から現在まで」(2019)、「魂の墓:寺院、機械、自己」(2018)など、国内外の多様な展覧会/プロジェクトの(共同)キュレーションを行ってきました。他にも台湾国立芸術基金、トーキョーワンダーサイト、ベンガル財団、香港バイシティ・ビエンナーレ・オブ・アーバニズム、ホンガ美術館などの主要な美術機関や美術館と協働し、「旗、越境者と無法地帯」(東京、2016)「家國之外」(2015)「逆棲」(2013)などのキュレーションを行いました。

近年の執筆には、區秀詒​​、陳界仁、ダムタイプ、ホー・ツーニェン、ジェーン・ジン・カイスン、ララ・ルク、王虹凱、トニー・オースラーなどのカタログやレビューなどがあります。また、『トニー・オースラー:ブラック・ボックス』、『サヴァイヴィング・オン・タイム:キュレーター・レポート・フロム・アジア』の編集を担当しています。

Website: https://www.alicenienpuko.com/

問い合わせ:
グローバルサポートセンター(担当:江上)
globalsupport@ml.geidai.ac.jp