公開シンポジウム
「ポストメディア時代の芸術文化と理論」
Public Symposium: Arts and Theories in the Post-Media Era

デジタル技術、通信や情報技術の発達によってメディアの環境が大きく変容しつつあります。マスメディアからソーシャルメディアへ、アナログからデジタルへ、そしてメディア文化産業から創造産業へといった変化は、社会や経済、政治や文化、そして私たちの身体とそれを取り巻く環境を大きく変容させつつあります。フェリックス・ガタリをはじめとする最近の議論にならって、この状況を「ポストメディア」の時代と呼ぶことができるかもしれません。
この時代に、メディアによってつくられる文化や芸術は、どのように変容するのでしょうか。そして、この時代に適したメディア理論とは、どのようなものでしょうか。この公開シンポジウムでは、「ソフトウェア・スタディーズ」と呼ばれる新しい研究領域の提唱者のひとりで、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ文化研究センターのディレクターであるマシュー・フラー、ソフトウェア・スタディーズ、デジタル・アートやデジタル文化の美学研究者であり、キュレーターとしても活躍するオルガ・ゴリウノヴァの2名を迎え、ポストメディア時代のメディア理論、芸術文化について議論します。

*入場無料、予約不要。
*このシンポジウムは、平成29年度科学研究費基盤研究B「ポストメディア文化研究の理論構築:創造産業の日英比較を中心に」(研究代表者:毛利嘉孝)の研究活動の一環として開催されます。
*2017年7月14日(金)には、マシュー・フラー単独の特別講義も実施されます。詳細はこちら。

日時:2017年7月15日(土) 13:00〜17:30
場所:東京藝術大学 上野キャンパス 音楽学部5号館109教室
言語:日本語・英語(通訳あり)

タイムテーブル:
13:00〜13:10 開会の挨拶 毛利嘉孝[東京藝術大学]
13:10〜15:00 問題提起「新しいメディア理論に向けて」伊藤守[早稲田大学]
基調講演「ブラック・サイトと透明なレイヤー」
マシュー・フラー[ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ]

15:00〜15:30 ディスカッション
討論者:毛利嘉孝[東京藝術大学]
司会:大山真司[立命館大学]

15:30〜16:00 休憩
16:00〜17:30 シンポジウム「ポストメディア時代の芸術と理論」
報告者1:オルガ・ゴリウノヴァ[ロンドン大学ロイヤルハロウェイ・カレッジ、リーダー]
討論者:清水知子[筑波大学]
司会:水嶋一憲[大阪産業大学]

講義アブストラクト:
マシュー・フラー
「ブラック・サイトと透明なレイヤー」
透明性は、価値が高いものとして称揚されている。これは、とくにコンピューターのインタフェースが、ユーザーとデータ、そしてプロセスの関係を構成する際にとりわけ強調される。この発表では、ユーザー・インタフェースの透明性の短い系譜学を示し、コンピューター・ソースから引き出された透明性の概念が、現代の建築、経済、政治、抗争、そして芸術において、いかに、より概括的な一連の常套句を生み出す方法を提供してきたのかを検証する。透明性の問題に関わるのは、もちろん視点から隠蔽、遮断されているものである。このふたつの状態が、現代生活を織りなすように組み合わされている様子は、今日のコンピューターの根本的な次元となっている。この発表では、「フラットデザイン」やシリコンバレーの最近の建築のような新しい文化的な対象物を見ることによって、この問題を論じたい。

講師略歴:
マシュー・フラー Matthew FULLER
ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ文化研究教授、文化研究センター・ディレクター。著書にHow to Be a Geek: Essays on the Culture of Software(Polity)、Media Ecologies: Materialist Energies in Art and Technoculture(MIT Press)、編著にBehind the Blip: Essays on the Culture of Software、Elephant & Castle(ともにAutonomedia)、アンドリュー・ゴフィーとの共編著にEvil Media(MIT Press)。これまで、アーティスト・グループのI/O/D、Mongrel、Yohaと協働してきた。Software Studies: A Lexiconの編集、またソフトウェア・スタディーズのオンライン学術誌Computational Cultureの共同編集にも携わる。

講義アブストラクト:
オルガ・ゴリウノヴァ
「データ主体」
本報告では、私たちの主体性がアルゴリズムによってデータベース化され、処理され、配列されるにしたがって、それをどのように扱うことができるかを考察する。オンライン上でわれわれが巧妙に演じる主体性は、私たちの知識の多くの場合、外側にあるデータより集められ、私たちに働きかけるデータの主体(サブジェクト)に曖昧な形でつながっている。私たちの主観性とデジタルなパフォーマンス、そしてデータの主体の関係性が、インデクス的なのか、メタファー的なのか、論理的なのか、詩的なのということは、いまだに答えのない問いである。興味深いやり方でこうした問題を提起しているアート・プロジェクトを紹介することでこの問題を考えたい。

講師略歴:
オルガ・ゴリウノヴァ Olga GORIUNOVA
ロンドン大学ロイヤルハロウェイのメディア・アート学部リーダー、大学院研究のディレクター。 著書に、Art Platforms and Cultural Production on the Internet (Routledge, 2012)、編著にFun and Software: Exploring Pleasure, Pain and Paradox in Computing (Bloomsbury, 2014)、アレックス・シューギンとの共編著にReadme. Software Art and Cultures (University of Aarhus Press, 2004)。また、Computational Culture, A Journal of Software Studies(computationalculture.net)の共同創立者・編集者。キュレーターとして、「Readme, software art festivals」「Runme.org」「Fun and Software」 などを企画。現在「デジタル主体」に関わる単著を執筆中。

主催:ポストメディア研究会(Post Media Research Network)
東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科毛利嘉孝研究室

お問い合わせ:
国際芸術創造研究科教員室
開室時間(上野):10:00~19:00 (月・木・金)
電話(上野):050-5525-2725
開室時間(千住):10:00~19:00 (火・水)
電話(千住):050-5525-2732
info-ga(at)ml.geidai.ac.jp