【一般公開】グローバル時代の芸術文化概論
クレア・ビショップ特別講義 DAY2

 この度、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科では、本研究科・開講科目「グローバル 時代の芸術文化概論」の一環として、美術史家及び美術批評家でニューヨーク市立大学大学院美術史科教授のクレア・ビショップ氏を招聘し、2日間に渡り講義を行います。

介入:政治的タイミングの芸術

この講義は、芸術的戦略としての「介入(Intervention)」を(ストリートとオンラインの両方を含めて理解される)公共圏における自発的で破壊的な身振りとして定義することによって、その歴史的・理論的分析を行います。介入の中心となるのが、〈政治的タイミング〉と〈メディアの流通〉です。この〈政治的タイミング〉という概念を、グラムシ/ホールが言う重層的情況(conjunctural)の分析として私は理論化しています。こうした作品が最初に現れるのは1970年代後半のラテン・アメリカです。そこでは、独裁性の衰退によって、政治が不安定になった時期に、芸術家たちが公共空間とメディアを活用することが可能になりました。2010年になると、ロシアやキューバ、アメリカでは、右派ナショナリズムの復興に呼応し、さらに政治的アクティヴィズムと不和の新しい形式と並行して物理的な空間における介入が再興しました。本講義は、最終的には以下の問題を提起したいと思います。(1)ソーシャルメディアの歪曲に耐える介入の力、(2)今ではオルト・ライトによって取り込まれてしまった破壊と侵犯の内在的価値、(3)介入主義的アートによって特権化されたアーティストの類型。

日時:2021年6月5日(土) 9:00-11:00
会場:オンライン開催(Zoom)
講師:クレア・ビショップ
討議者:田中功起(アーティスト)、菅原伸也(美術批評・理論)
挨拶:熊倉純子(東京藝術大学・教授)
司会:毛利嘉孝(東京藝術大学・教授)
予約:以下の申込フォームから事前予約をお願いいたします。
*定員に達したため、お申し込みの受付は終了いたしました。
*英語チャンネルのみYouTubeにて配信を予定しています。
*DAY2は公開講義です。どなたでもご参加いただけます。
*参加無料(要予約)、日英同時通訳あり


クレア・ビショップ

 美術史家及び美術批評家、ニューヨーク市立大学大学院美術史学科教授。著書に「人工地獄 現代アートと観客の政治学」、「ラディカル・ミュゼオロジー」がある。また彼女はアートフォーラムの寄稿編集者であり、彼女のエッセイや書籍は約20か国語に翻訳されている。現在、マース・カニンガムのイベントについての文章と、現代美術についてのエッセイを執筆中。最新の出版物はキューバのアーティスト、タニア・ブルゲラとの対話集。


主催:東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科
お問い合わせ:東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科 教員室
info-ga(a)ml.geidai.ac.jp